止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ9)

今日:14 hit、昨日:38 hit、合計:302,703 hit

54話ページ9

-渡辺side-

渡｢っ……ｯぅ…ｹﾎｯ…｣

岩｢あれ、飲めない…？｣

早く吐いて楽になりたいから、素直に飲もうとしたのに…

まるで嚥下の仕方を忘れたみたいに、ただの水すら喉を通らない。

悔しくて無理に飲み込もうとすれば口蓋垂を刺激されて、そのまま便器に吐き出してしまった。

渡｢ぉ…ｯぇ…っ…ｺﾞﾎｯｺﾞﾎ…ｯ…！｣

そして、口に含んだ事で誘発されて嘔吐きながら咳き込んだ瞬間。

勢い良く口から吐き出された何かがﾊﾞﾁｬｯと音を立てて、白い筈のそこを赤黒い液体が染め上げる。

それを見て、一番近くにいた2人が背後で素っ頓狂な声を漏らした。

岩｢えっ…？｣

ラ｢へぁっ！？｣

そのリアクションに、後の2人もどうしたのかと後ろから覗き込んだみたいだけど、康二は血が苦手らしく…

"ひっ！"って縮み上がるのが分かった途端に可笑しくなった息遣いを、めめが必死に落ち着かせる声がする。

でも、当事者の俺は驚くとか目を逸らすより前に、熱した鉄球を喉の奥に突っ込まれた様な激しい痛みに襲われて…

思考をシャットアウトされると同時に、堪える為にｷﾞｭｯと強く目を閉じた。

…それでも、とても耐え切れるものじゃなくて、どうやら無意識の内に首元を爪で引っ掻いてたみたいだ。

岩｢おい、翔太！やめろ！｣

ラ｢しょっぴー！血が出ちゃうよ！｣

慌てて制止されつつ皆の方を向かされて、首を蚯蚓脹れで真っ赤にした手は照の大きな掌に包み込まれる。

喉が痛いの？という問い掛けには、必死になって頷いた。

喉が捻じ切れる様な感覚と目の前に広がる異様すぎる光景の恐怖で無意識に溢れる涙に、2人も焦りながら話し始めて…

めめと少し落ち着いた康二も交えて暫く相談した後、出された結論。

体調が一段落したらマネージャーに事情を話して病院に連れて行って貰おうって言葉に、また何度も首を縦に振った。