止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ7)

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52話ページ7

-渡辺side-

ラ｢大丈夫…？｣

渡｢ん…｣

打ち合わせが始まって以降、隣のラウールに背中を摩られて座ってるだけで時間が過ぎる。

流石に机に突っ伏す訳にはいかないから、必死に全身に力を込めて踏ん張りながら。

とは言え、スタッフさんとかに質問されたりしたけど、声が出せなくて答えられないから全部メンバー任せ。

情けないし…

体は辛いし…

満身創痍な自分に募るのは、嫌悪感ばかり。

次第に何か問い掛けられる事もなくなって向こう側だけで話が進むから、こんな状態なら俺が居ても居なくても変わらないだろ。

なんて、ﾓﾔﾓﾔとそんな事を思っていたら…

ｷﾞｭｰｯと胃を絞られる様な感覚と共に、あの深夜の吐き気が今襲ってきて、一気に体が強ばった。

渡｢っ…んｯ……ﾊｧｯ…｣

ラ｢えっ、ちょっ…しょっぴー？どこか痛いの？｣

耳元で小さく声を掛けてくれたラウールに心配させまいと首を横に振って、俺だけ抜けさせてもらおうとしたものの…

足に力が入らずに、立ち上がろうにも立ち上がれない。

だからと言って会議室で吐くなんて有り得ないし、ここは助けを求めなきゃと先ずはマスクを外した。

ところが、息が漏れるばかりで上手く声が出ない。

伝えたい事が何一つ伝えられない。

そんな事をしてる内に、あっという間に限界が来て…

思わず、吐かないようにｸﾞｯと口元に手を当てる。

渡｢ｯぅ…っ…ｹﾎｯ…｣

ラ｢もしかして吐きそうっ？ねぇ、皆っ！しょっぴーがっ！｣

幸いラウールがそれで気付いてくれて、その大きな叫び声で他のメンバーも何事かとこっちを向く。

慌てた様な驚いた様な顔に、沢山注目されたかと思ったら…

そこからはトントン拍子。

直ぐに打ち合わせが中断され、その申し訳なさに苛まれる暇さえ与えられる事なく、筋肉質な腕に抱え上げられて…

照のリーチの長い脚で、トイレに猛ダッシュした。