止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ39)

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84話ページ39

-渡辺side-

ベッドの傍の椅子に腰掛けた滝沢くんと、少しばかり雑談した後。

一応と前置いて、今日の本題が切り出された。

それは、常に心のどこかで不安に思ってた、SnowManとしての活動について。

滝沢くんは、この病室に来る前に涼太辺りから聞いたのか、俺の病状をよく知っていて…

差し出された提案も、全てを鑑みての物だった。

滝｢正直、俺は…お前が直ぐに仕事に戻るのは、厳しいんじゃないかと思ってる。手術直後で退院も先。治療も続く。だから…｣

渡｢っ…｣

未だ喉の炎症が治まらず、排膿から2日近く経っても扁桃が腫れている事。

それに伴う高熱が下がっていない事。

喉頭の浮腫が酷く、気管の器具をまだ外せない事。

飲食が一切出来ない為に痩せ細り、体力もかなり落ちてしまっている事。

悪化させてしまった胃炎の治療も残っている事。

全部全部、滝沢くんの言う【活動休止】の言葉を納得せざるを得ない現実なんだ。

正直、デビュー1年目の大事な時に休養なんて悔しい。

きっと、滝沢歌舞伎にも絶対に間に合わない。

でも、心を決めなきゃ。

諦めなきゃ。

そう思って、俯いてたのに…

滝沢くんの考えは、少し違ったみたいだ。

滝｢歌舞伎の撮影は、さっき延期が決まった。｣

渡｢っ…！？｣

その一言に驚いて思わず顔を上げたものの、見上げた先の滝沢くんは顔色一つ変えない。

詳しく聞けば、8人のSnowManを映画に出す事はせず、撮影開始は俺の体調が元通りになってからにするって、そう淡々と説明した。

けど、そんな事ダメだ。

そんなの、この映画に関わってる全ての人達に迷惑をかける事になる。

目に見える数十人の演者だけじゃない。

俺一人の体調管理の甘さが原因で、裏方で支えて下さる数多のスタッフさん達にも。

でも、どんどん色んな事が脳内を渦巻いて考え込む俺をよそに、滝沢くんは笑ったんだ。

"だって、仕方ないだろ"って。

いつもと同じ、朗らかな笑顔で。