止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ38)

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83話ページ38

-渡辺side-

朝、先生と看護師さんに叩き起こされて、いつもならまだ寝てる時間に寝惚けながら検温と血圧測定。

それから点滴と氷枕の交換をしてもらい、喉のカニューレに不備がないかどうかも確認して、漸く面倒臭い回診は終わった。

俺はまだ食事が出来ないから、また眠気に誘われる様に二度寝して…

暫くして、明らかに寝過ぎた感覚に目を覚まして時計を見れば、いつの間にか11時過ぎ。

昨日の面会時間終了と同時に帰って行ったメンバー達は、今頃元気に仕事をしてる頃だろうか。

一方で俺はと言うと、未だ体から熱が引かずに氷枕に頼りきり。

ベッドともすっかり友達だ。

既に見慣れてきた白い天井を眺めながら、少し視線を動かして…

まだ点滴終わらないのかなぁと思っていると、突然響いたノック音。

この時間帯にメンバーが来る筈がないし、看護師さんかマネージャーか両親か…

なんてﾎﾞｰｯと考えてたけど、いざ戸が引かれて現れた人物を見て、思わず目を見開いた。

滝｢失礼します…お、いたいた。久し振り、渡辺。｣

渡｢っ…！｣

そこに居たのは、まさかの滝沢くん。

もれなくビックリして、慌てて体を起こそうとしたら…

熱を持った重たい頭を支えきれずに、上体がﾌﾗﾌﾗと揺れる。

それから、全身に力を込めた事で術後の喉の傷がｽﾞｷﾝｯと痛んで、顔を顰めてベッドに逆戻りした。

渡｢ﾊｧｯ…はｯ…っ…ぅ…｣

滝｢無理しないくていい。少し様子を見に来ただけだから。｣

滝沢くんはそう言って荒くなった呼吸で上下する俺の肩に手を置き、行動を制止する様に足元に丸まったガーゼケットを掛け直してくれる。

とは言え、流石に寝たままは失礼だし、せめてもとリクライニングを上げて座ると…

"律儀な奴だな"って笑って、お見舞いの品を棚の上に置いた。

食事出来ない俺の為に食べ物じゃなくて大きな花束なんて、どこまでも配慮する人だ。

その、きめ細やかな気遣いと人柄の温かさ、気高さに惚れそうになったのは言うまでもない。