止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ35)

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80話ページ35

-渡辺side-

向｢ぅぅーっ…しょったぁぁ…っ…｣

阿｢いやいや、えっ？｣

深｢何っ？泣いてんのっ？｣

目｢どうした、お前。｣

そんな風に、茶化し半分に突っ込みながらも…

康二が"手術受けたって聞いて心配した"なんて俺に抱き着くと、一緒になって目を潤ませる奴がちらほらと。

とは言え、弟の前で泣くもんかって謎の根性を発揮する兄組の数人は、その涙を堪えつつ周りを揶揄って、俺や年下組を笑わせようと自分も笑う。

お陰で沈んでた空気も何もかも明るくなったけど、俺は上手く表情を作れなかった。

渡｢…っ、｣

だって、喋りたくても喉から息が漏れるだけで声が出ない。

これが永遠じゃない事くらい分かるけど、想像の何倍もキツいんだから。

でもそんな事、必死に俺を元気付けようとしてくれる皆に悟られたら申し訳ないし、少し無理してでも頷いたり笑ったりしてたら…

ふと視線が交わったのは、涼太の大きな黒目。

"無理しなくていいんだよ？"なんて聞こえてきそうな、俺の事なら言葉なんて無くても分かると言いたげなその瞳。

それに、心の中まで全てを見透かされてる様に感じて…

察されるのが怖くなって、ふいと目を逸らした。

涼太がママとパパを呼んで勝手に手術を決めたあの時の恨みも、少しばかり尾を引いていたのも手伝って。

渡｢っ…｣

ラ｢あれ？しょっぴー？｣

岩｢何か拗ねてね？｣

でも、"何で拗ねてるの？"とよく分かっていない他のメンバー達の一方、涼太は全て理解した上で"ごめんね"なんて謝るから…

何だか、そんな些細な事どうでもよくなったよ。