止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ30)

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75話ページ30

-深澤side-

YouTube動画を幾つか撮影し終わり、島の方に上げる短い動画も三本。

その内の二本は、たまたま事務所内にいたSixTONESの高地と樹も一緒に。

普段から仲のいい樹は、翔太がいない事にすぐ気付いて聞いてきたから…

入院の事や手術の事などを説明すると、酷く驚いて酷く心配してくれた。

田｢昨日からメッセージ返してくれないなーとは思ってて…でも、まさかそんな事になってたとは…｣

高｢きっと辛いですよね、翔太くんって歌声を凄く大切にしてるから…｣

深｢うん…少しの辛抱なんだけど、やっぱり苦しいよ。本人は。｣

そんな話をした後。

決して2人を信用してない訳じゃないけど、メンバー以外には他言無用だとは伝えて…

暇な時にでも見舞いに行ってやってと、病院の名前と病室の部屋番号をこっそり教えた。

マネージャーや舘さんから話を聞いた限りでは、今の翔太は気持ちが落ちちゃってるらしいし…

仲のいいSixTONESの顔を見れば、少しは元気になるかなって。

岩｢ふっかー？…あ、居た。午後から雑誌の取材だから、今食っとかないと時間取れなくなるよ。｣

深｢やべ、そうだった。…ありがとな、2人共。｣

照に呼ばれて2人に別れを告げ、控え室に戻る。

でも、何だか…その空間に流れる空気が、どことなく暗い様に感じた。

ただ、一人居ないだけ。

ただ、翔太が居ないだけ。

仕事をさせて頂く上では、切り替えなきゃならない。

その筈だったのに…

たかが入院、されど入院。

撮影中も上手く集中出来ていなかったメンバー達は、控え室でもどこか上の空。

いつもは騒がしい佐久間や康二の元気も無くて、普段より数段以上静かな部屋。

たまに喋ったりする程度で黙々と食事する皆の傍で、とっくに昼も過ぎてたし食いっぱぐれる前に俺も弁当にがっついてると…

突然、ｺﾝｺﾝｯとドアがノックされる音が響いた。