止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ28)

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73話ページ28

-宮舘side-

翔太が眠りに落ちて数分。

このゆっくりと時間が流れる空間で聞こえるのは、ｻﾞｰｯと激しく打ち付ける窓の外の雨音だけ。

"息子が無事で良かった"と、お母さんが寝ている翔太の手を握って啜り泣く声も掻き消される程の。

宮｢…あっ。｣

そんな折、不意に病室の壁に掛けられた時計が視界に入り、思わず椅子から立ち上がる。

今まで気付かなかったが、針が指し示す時刻は午前4時前。

正直な所は未だ翔太の事が心配で、俺も朝まで傍に付いていてやりたいのが本音だけど…

生憎にも数時間後には仕事なので、僅かでも仮眠を取らないと体が持たない。

それに…このままここに居て、親子水入らずの雰囲気を邪魔しても申し訳ないからね。

宮｢そろそろ、僕はこの辺でお暇します。｣

父｢あぁ…今日も仕事だろうに、長い事悪かったね。気を付けて帰りなさい。｣

母｢っ…涼太くんのお母さんには、涼太くんは元気だったと伝えておくわね…？…ｯ…ｸﾞｽｯ…私と同じ様に、貴方達のデビューしてからの多忙さを酷く心配していたから…｣

宮｢…はい。｣

ご両親と言葉を交わして頭を下げ、自然と目頭が熱くなるのを隠しながら、最後に翔太の元へ。

さっきまで手術キャップを被っていたせいで乱れた猫っ毛を手櫛で梳いてやり、その呼吸を間近で感じれば…

間違いなく生きているという証に、今一度安堵する。

そして、"また来るからね"と翔太の頬に残る涙粒を優しく拭うと…

再びご両親に会釈をしてから、音を立てない様に病室を後にした。

でも、病院を出てタクシーを呼ぼうと思ったら、まさかの回送の時間帯。

そりゃ、こんな時間に利用する人は中々いないかと納得して、歩いて駅まで向かったものの…

電車の始発もまだで帰れないという、確認不足のすっとこどっこい。

結局、自宅に戻れたのは朝方で、睡眠時間が大幅に削られる事になり…

切実に、車の運転免許が欲しくなった夜だった。