止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ3)

今日:16 hit、昨日:38 hit、合計:302,705 hit

48話ページ3

-佐久間side-

渡｢ｹﾎ…ｯ…なに…？｣

阿｢あ、えっと…大丈夫かなって。｣

渡｢…だいじょうぶ、だよ。｣

取り繕う言葉が見つからなかったのか、咄嗟に出た阿部ちゃんの問い掛けに、さも当然のように返された一言。

でも、とても俺らには大丈夫に見えないよ。

そして、久々に翔太の声をちゃんと聞いて、確かな違和感に気が付いたんだ。

佐｢ねぇ、阿部ちゃん…翔太の声…｣

阿｢うん…｣

翔太の口から発されたそれは、明らかに掠れていた。

しかも声帯を痛めたか喉を潰したような変な掠れ方をして、耳を澄まさないと殆ど聞こえない。

本当に出てるのかも怪しい程に。

こんなの絶対に可笑しいから、翔太の見張りを阿部ちゃんに任せて、信号待ちのタイミングで前の方の席に座ってたマネージャーに相談すると…

マネージャー自身も、翔太が最近頷くばかりで声を出さないのを不審がっていたとの事。

そんでもって彼は極度の心配症なもので、捲し立てる様に"僕では無理だからどうにかして欲しい"なんて助けを求められた。

そりゃそうだよね。

あんな状態じゃ、明日からの滝沢歌舞伎の歌稽古どころか、今日のロケも厳しいもん。

佐｢うーん…分かった。俺の方から説得してみる。｣

必ず休ませる。

仕事させない。

そう息巻いて、後ろの座席に戻る。

けど、どうやら説得とか駆け引きとか、そんな物は必要無かったみたいだ。

だって、翔太にロケを休むように言ったら…

自分でも出来ないと思ってたのか、悔しそうにしながらも渋ったのは少しだけ。

割と直ぐに頷いてくれたから。

でも、意地っ張りな翔太が体調不良を認めるなんて、それだけ限界なのかと思うと…

やっぱり、その分の心配も大きかった。