止まない雨はないから。[青] -2nd- (ページ16)

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61話ページ16

-宮舘side-

宮｢んっ……あれ、寝てた…｣

阿｢うわぁ、舘さん起こしてごめんね。｣

岩｢あーあ、佐久間がうるさくするから。｣

目｢あーあ、舘さんの貴重な寝顔が。｣

佐｢えぇ！俺のせいなのっ！？めちゃくちゃ大人しくしてたじゃん！｣

深｢いや、全然よ。｣

病院の雰囲気に萎縮してか喋らない数人もいるものの全員が揃っていて、お馴染みの様に一通り騒がしくなる。

けれど、メンバー皆がそれぞれ内心に秘めていた物事は一緒で…

誰かの一言を皮切りに、一斉に聞かれたのだった。

翔太の容体について。

だから、メモ機能に色々と書き留めたスマホを片手に説明を始めた所、今度こそ本当に大人しく聞いてくれた。

とは言え、翔太が無理した事には怒りながら、自分達も様子が可笑しい事に気付いてたんだから、ここまで酷くなる前に止められただろなんて、自責の念に駆られて…

全部話し終えた頃には、皆黙り込んでしまっていた。

一時間程前の俺と同じように。

けど、この真っ暗な雰囲気を切り崩すが如く、聞こえたんだ。

酸素マスクでくぐもっている上に、出しにくそうに掠れた声だけど…

紛れもない、翔太本人の声が。

渡｢こんなのっ…ﾊｧｯ…じごう、じとく…っだから…｣

ラ｢っ、しょっぴー…｣

向｢しょった…っ…そんな事ないで…｣

渡｢すぐなおるって、おもってたんだけどなぁ…｣

康二のフォローにも耳を貸さず力無く笑う翔太は、"ただの風邪じゃないんでしょ"と俺の目を真っ直ぐに見て言う。

自分の体の事は、自分が一番分かってるからって。

だから俺が、病気の事について詳しく説明したら…

"やっぱり我慢なんかするんじゃなかった"って自嘲気味に唇を歪ませて、目元を手で覆った。

暫く入院になる事も伝えると、歌舞伎の稽古は勿論の事、他の仕事も全部休まなきゃならないのが心配そう。

けど、その不安気な表情を見てか、敢えて明るく笑い飛ばすメンバー達は流石だったよ。