ずっと、君と共に。[橙]

31話 ページ32

-目黒side-





あれから暫く経って、阿部ちゃんは夕方からの仕事の為に一旦離脱。



まぁ、ここに泊まるから戻ってくるけど。




当の康二はと言うと、舘さんにひっつき虫でソファの上で抱っこされてる。



因みに俺は早々に拒否られたけど、別に寂しがってねぇから。



誰だ、嫉妬してるとか言った奴。




あ、阿部ちゃんだ。


後で何かしら仕返しとこう。





向｢…な、だて……ひだりのみみ、きーんって…｣



宮｢耳鳴りするの？うーん、それも突発性難聴の症状かな。明後日病院の先生に伝えようか。｣



向｢ん。｣





舘さんの膝の上に乗っかって、向かい合った超至近距離。



康二はまだ具合悪そうだし、舘さんもそれを心配して甘やかしてるんだけど…


如何せん2人の世界作り上げてる。



俺、ほぼ空気みたいになってるし。




しょうがないから勝手にリモコンを拝借してテレビの電源を点けたら、丁度お笑い番組の再放送をやってて、この芸人さん面白いなぁ…なんて思って観てると、何だかソファの辺りが騒がしい。



どうしたのかと視線を動かしてみれば、やっと落ち着いてた筈の康二が、舘さんの胸元に顔面押し付けて泣いてる。




え、どーした。



何があった。





目｢え、舘さん、康二どうしたの。｣



宮｢目黒ごめん、多分テレビが駄目なんだと思う。観始めた所で悪いけど、消してやって。｣



目｢あー、そういう事か。｣





いつもなら笑いながら観てる、康二の好きな番組。



だけど、好きだからこそショックも大きい。




今まで普通に聞こえてた物が聞こえなくなるって、相当なダメージだよな。



やべぇ。


取り敢えずこれは、俺の配慮が足らなかった。



康二に悪い事しちゃったわ。

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