41話 ページ42
-宮舘side-
帰りの車中。
後部座席は熟睡中の康二の為に明け渡してしまったので、必然的に座る場所は運転席でハンドルを握る翔太の隣。
他のメンバーは全員照の車で駅まで送って貰うらしく、往路と同じメンツになった。
夜の繁華街を照らす街灯。
それに負けない光を空から放つ月は、今日は満月だ。
そう、流れゆく景色を見ながら、たまに後ろへ視線を送って眠る彼の顔色を見る。
翔太は運転に集中して話す事もなく、それでも沈黙が辛くないのは気心が知れた幼馴染だから。
けれど、信号待ちのタイミングで控え目に話し掛けられたかと思えば、何故だか突然核心を突いてきた彼の事は、未だ理解し切れていなかったのかな。
渡「涼太さ、康二が脱退するとか事務所辞めるとか言い出したの、自分のせいだと思ってんの?」
宮「え?」
驚いてつい聞き返したものの、それは間違いなく図星だった。
幼馴染は、やはり侮れないらしい。
康二にああ言わせてしまった責任は、自分にあると思っていたのは事実で、今もそう思っている。
康二の傍にずっと付いていたにも関わらず、何も出来ずに悩ませて…
挙句の果てには辞めたいとまで思わせてしまった事、それは俺の過失に違いない。
しかし、その俺の意見を真っ向から否定する様に首を横に振り、切り替わった青信号でアクセルを踏むと、翔太はこっちを一切見ずに溜め息を吐いた。
渡「お前も大概バカだな。涼太が何も出来てないって言うなら俺はマジの役立たずだよ。てか、涼太以外のメンバー全員そうなるぞ。俺とか照とか康二に懐かれてると思ってたのに、初っ端で拒否られたし。」
宮「でも…」
渡「でもじゃねぇ。」
少し辛辣で…
厳しくて…
でも、それは翔太の優しさ。
また赤信号に捕まった事で苛々しながらも、話を続けてくれて…
【康二はもう大丈夫だ】
【あいつは強い】
【お前が気に病むとまた悩み出すぞ】
なんて最後に言ってくれた言葉は、自分の頑固な意見よりも何故だかスッと納得出来て、静かに頷いた。
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和音(プロフ) - ほのかさん» 初めまして。コメントありがとうございます!そう言って頂けて、とても嬉しいです(^^)まだまだ稚拙な文章ではありますが、引き続きお付き合い頂ければ幸いです(^^) (2020年5月19日 18時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。この占ツクでたくさんの作品を読ませていただいてるのですが、主様の作品が今1番更新されて嬉しい作品です!!すごく大好きです!これからも楽しみにしています^ ^ (2020年5月19日 14時) (レス) id: 8996cfb164 (このIDを非表示/違反報告)
和音(プロフ) - ゆうさん» コメント並びに、嬉しいお言葉をありがとうございます!まだまだ序盤ではありますが、引き続きお付き合い頂ければ幸いです(^^) (2020年5月17日 22時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めっちゃ引き込まれました!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年5月17日 20時) (レス) id: a893233080 (このIDを非表示/違反報告)
和音(プロフ) - ぴぴたんさん» 初めまして。コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しい限りです(^^)まだまだ始まったばかりで先は長いですが、引き続きこの作品を宜しくお願い致します(^^) (2020年5月15日 23時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:和音 | 作成日時:2020年5月10日 19時