ありがとう×2 【にのみや】-完結- (ページ14)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:1,399 hit

■ ページ14

.

夕飯後、軽く皿を洗って、Aは猛ｽﾋﾟ-ﾄﾞでﾃﾚﾋﾞ前に飛びついた。
俺が手渡したﾋﾞ-ﾙ片手にﾘﾓｺﾝを操作してつけたﾁｬﾝﾈﾙには、金ﾛ-が流れ始める。

「あ、金ﾛ-始まるー」

Aは映画が好きだ。特に推理もの。

推理ものは始まった瞬間から謎を解く鍵があると豪語するAは、既に全神経を画面に注いでいる。

そんな彼女は俺からの問題を解けるだろうか。

彼女の横でｽﾏﾎのﾒ-ﾙ画面を開き、あの未送信のﾒ-ﾙを思い出しながら全く同じ文面を打ち込む。
送信先は勿論 A。

ｽﾏﾎに変えてから、ﾒ-ﾙ機能でAに送るのは実は初めてだ。

着信音が鳴り、Aは片手で自分のｽﾏﾎを取り上げ、画面を見る。

「しかもなんでﾒ-ﾙ？」

目は通したみたいだ。
だけど初めてのﾒ-ﾙに不思議な様で。

「あ、みた」

「みたけど。何？これ」

「なんでしょうー」

これは俺からの問題だ。

ｳｲﾙｽに感染したんじゃないか、怪しいｻｲﾄを踏んだんじゃないか、と疑われるのを一つ一つ否定していく。
"暗号"だ、ということだけ伝えて、あとは口をつぐむことにした。

Aは首を傾げながら画面を凝視している。さっきまで金ﾛ-だったのに。

まだ全然わかってないみたいだな、と思うと可笑しくて笑えてきてしまう。

.