ありがとう×2 【にのみや】-完結- (ページ7)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:1,416 hit

■ ページ7

.

「 ...ﾆﾉ」

驚く俺とは対照的に、彼女は少し微笑んでこちらをみている。どうやら俺の場所を予想していたようだ。
少しだけ癪だ。

目線を外す。彼女曰く、残業を押し付けられるたのにも関わらず無理を言って1時間抜けて来たと言う。

普段真面目に働いてる彼女が抜けて来たなんて、よほどの事だ。_______嬉しい、と思っちゃうでしょうが。

「じゃあこっちに来てよ」

尚更こんな間抜けな顔は見せられない。顔を背けたまま言えば、彼女は素直に従った。
間髪入れずに腕を彼女の後頭部に回す。

俺のためにわざわざ仕事を抜けて来た彼女。
ついさっきまで、なんとも言えない気持ちでいたのに、今は愛しさしか感じない。

誰も公園に居なかったのを恨めしく思っていた。今はそれに救われた。

「 ...恥ずかし」

すぐに唇を離したけれど、恥ずかしさは拭えない。彼女もほんのり顔を赤く染めて、それがまた可愛く思えた。

「あ…ね、見て」

不意に、下を見ながら彼女が嬉しそうに呟く。

「ん？」________ 釣られて下を向く。

「影が重なってる… 」

…全く、言う事なす事本当可愛いね。
なんて、絶対言わないけど。

.