doll＊392 ページ2
《…分からないんだ。》
『…え？』
余りにも小さな声に聞き逃しそうになったけど、確かに【分からない】と言って…
こちらに攻撃してくるでもなく、その場に立ち尽くした。
…その様子は、今までの彼とは違い…どこか悲しそうに見えた。
《ｯ…私は…親の顔を知らずに育った。…孤児だった。
産まれて直ぐの赤ん坊で施設に入ったが、そこでも独りで…他人と話す事も顔を合わせる事すらも出来ずに17まで過ごした。
勉強はできる方だったからいい大学へ行こうとしたが、保護者の印を貰うことが出来ずに諦めた。
…そんな時、師匠と出会ったんだ。
繊細で…眩く…麗しい……あんなに綺麗な人形を見たのは初めてだった。
【私もこんな人形を造りたい】
そう思うことに、時間はかからなかった。
…毎日毎日、師匠の元へ通い詰め…何度も何度も製作作業を見ているうちに…いつの間にか、師匠とだけは話せるようになっていた。
だが、それから数年が経ち…私がプロの人形師としてデビューを果たしても…
…私は、師匠以外と話した事はなかった。
…私は、愛を知らなかった。
愛し方も、愛され方も、何もかも分からなかった。
…両親から貰ったのは、この身体だけ。
…そして、師匠から貰ったのは、ビスクドールの作り方だけだった。
ｯ…誰も…私に愛を教えてくれる人はいなかった。
…だからｯ……作るドールにも愛が足りなかったのだと思う。
…ｯｯ…仕方が無いことなんだ…》
辛そうに…息苦しそうに……グッと自分の服の胸元を掴み、、
今にも泣き出しそうな表情で、膝から崩れ落ちる様に座り込んだ。
…そんなMr.ノアの姿を見て……私は思わず、ゆっくりと傍へと近づいた。
勿論…さっき殺されかけたし、何をされるか分からないから3m程距離を取ってるけど。
『…今からでも、間に合うと思う。』
《…え、、》
『ねぇ…貴方は、何でそうやって諦めるの？
…愛を知らないから？…愛し方が分からないから？
ドールを造ることが好きなんじゃないの？一番の幸せなんじゃないの？
…愛し方に正解なんてない。
だから…自分なりに考えて、自分の目一杯大きな愛を込めてドールを造ればいいと思う。
…それで認めて貰えないって言うなら、その人が間違ってる。…違う？』
俯いたままのMr.ノアにそう問いかけると…
ほんの僅かに…頷いたような気がした。
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ななみ(プロフ) - アキトおおおおおおお泣うわああああああああ(´Д⊂ヽ朝から全部読んで感動しました泣決着の予想は付いていたが読み進めると悲しい気持ちになりました泣ジュンタくん！！アキトくん大好きだよ！！ (2022年11月22日 6時) (
レス) @page29 id: c060af3ed8 (このIDを非表示/違反報告)
和音(プロフ) - ８７８さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると嬉しく、とても励みになります(^^)これからもこの作品をよろしくお願い致します(^^) (2019年4月20日 19時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
８７８ - いつも更新を楽しみにしてます！vol.9の更新がんばってください！ (2019年4月20日 19時) (レス) id: e0fce50eaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和音
| 作成日時：2019年4月20日 14時
