1-4*絶望 ページ5
意識が飛ぶ直前。
「…くふふっ、かーわいっ」
「____ッ?!」
ぱっと手を離された。
力が入らない体が受け身も取れずに地面に叩きつけられる。
急に大量の酸素が入ってきて苦しい。
「はッ、あ"、ヒュ…ッケホッケホッ…ぅ…」
「(ナマエ)、俺から逃げられるって思った?」
思った。
思ったに決まってる。
勝手にこんな変な噂流されて、
図書館から出たり
さん付けするだけでこういうことされて。
なんで呼び捨てにこだわるの?
"(ナマエ)"って誰なの?
私の名前は刻音なのに。
荒い呼吸をするばかりで声が出ない。
そんな私をつかささん、…つかさは先程とは打って変わり、優しく抱きしめた。
「鬼ごっこも楽しいからイイけど、
(ナマエ)はもう俺のモノだよ!」
つかさは私に手を絡ませてくる。
抵抗する気力もない私はされるがまま。
「_______絶対逃がさないから、ネ。」
元からない体温が、
もっとなくなっていくような感じがした。
"絶対
ぴきん、と。
私の何かが壊れる音がした。
抵抗してもまた痛い思いをする。
でも逃げても結局捕まってもっと痛い思いをする。
戦って勝てるならこんなことにはなってない。
その時、漸く気付いた。
私は最初から、鳥籠に囚われた小鳥だったんだ。
「……ぅ、うああぁぁ…」
大粒の涙がいくつもこぼれ落ちる。
つかさの前でボロ泣きしているのに、
その時は恥ずかしさなんて感じなかった。
つかさはそんな私を愛おしそうに見つめる。
「さっきの全部諦めた顔もスキだけど、
今の絶望してる顔も俺スキだなあ。」
そうやって頬を撫でられて、
涙を舐められても、
何も感じない。
ずっと現実から目を背けていたかったなあ。
ばらばら
がしゃん。
何もかも壊れていく初めてのはずの感覚が、
何故か"懐かしい"なんて思えるくらい
私はもうおかしくなっていた。
「________やっと手に入ったかなぁ。」
つかさがそう言って、
笑っていたことにも気付かない。
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ハヒフ - そこでやめないでくれぇピエン (2022年2月21日 21時) (レス) @page19 id: ee79ae4f81 (このIDを非表示/違反報告)
刃華禰 - 更新待ってます!! (2020年3月25日 14時) (レス) id: 022f9f82f7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもち。(プロフ) - そうなんですね!ありがとうございました! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 9402601da5 (このIDを非表示/違反報告)
ニノミ(プロフ) - ゆきもち。さん» すみません…わからないです…。本作品のcssは他の作者さんが配布していたものを使用しているのですが、その作者さんがいつの間に占ツクを退会されたのかアカウントが消されていて配布も行っていないようです。お役に立たずごめんなさい…。 (2020年3月16日 10時) (レス) id: 913fcb9d41 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもち。(プロフ) - cssのパスってなんですか?? (2020年3月16日 0時) (レス) id: 9402601da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニノミ | 作成日時:2020年2月18日 20時