Voyage.3 (ページ7)

今日:12 hit、昨日:5 hit、合計:98,104 hit

11-2 ページ7

.

カチャン。

和「ごちそうさま。」

智「え？まだ全然食べてないじゃん。もういいの？」

和「うん..。」

智「でもせめて具だけでも食べろよ。栄養足りなくなるぞ」

和「大野さん食べる？」

智「おれはさっき食べた。なに、体調わるいんか？」

和「別にそんなことない。」

大野さんが拒否権なしにおでこに手をあててくる。

智「え、おまえ熱あるんじゃない？いつから？」

和「熱なんてないよ」

智「いやあるって。ちょっと熱測ってみてよ」

そう言って体温計を持ってくる。
ピピピとなったそれを見るとそこに表示された37.8という数字に驚いた。

智「正直に言って？いつから体調悪かった？」

和「ほんとに熱あるなんて知らなかった...」

俯きがちに呟く。

智「そか。頭痛いとか目眩とかは？」

和「大丈夫。」

智「ほんとに？」

和「うん..」

智「そこでちょっと待っててな」

大野さんが薬を持って戻ってきた。

それを飲み終えて、仕事を再開するために立ち上がる。

熱があることを自覚したせいか、少しふらふらした。

智「にの？」

大野さんがどこに行くの？と言いたげな顔で見てくる。

知らないフリをして階段を上がった。

部屋に入ってしばらくすると、大野さんが階段を上がってくる音が聞こえる。

寝ろって言われるんだろうなと思って、大野さんがくる前にベッドに入った。

それから数秒して、ガチャリとドアが開く。

思った通り、大野さんは俺が寝ているのかを確認してきた。

ベッドで目を瞑っている俺を見て安心したのか、また静かにドアを閉めて出て行く。

おれはそれを察すると、ベッドから抜け出してまたデスクに向かった。

怒られるのは分かってるけど今は仕事が忙しいから仕方ないんだ。

.