Voyage.3 (ページ25)

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【episode 15】15-1 ページ25

《逆らえない弱点編》

和 side

おれの嫌いなものは

高い物。貝。お寿司。海外の変わった食べ物。

などなど。

もう昔からこれらが自分に合わないことがよく分かっていた。

だから自分から食べるなんてことはしなかったけど、大人になった今だからこそ食べなければいけない状況っていうものが出てくる。

それは１年ほど前のこと。

会社に入ってしばらくした頃。

お世話になった部長が退社することになり、その人のお別れ会と題して飲み会をすることになった。

そこに、新人の中では一番関わりのあった俺も呼ばれることになったのである。

自宅勤務ではあるけれど、研修の頃にお世話になった人で、たまに会社行く時にも何度か声をかけてきてくれる親切な人だった。

和「はぁ、ほんっとに行きたくない」

雅「まあまあそう言わずにさ！適当に参加して適当に抜けて帰ってきなよ。上司と話すのが嫌なんでしょ？」

和「おれが嫌なのはそこじゃなくて...」

雅「ああ、食べ物？」

和「そう。明日予約してあるとこ、さっき調べたらめちゃめちゃ高級なとこだった…」

雅「高級なもの食べられるのに喜ばないのにのちゃんくらいだよ」

和「嫌いっていうか体が拒絶するの」

雅「みんなでたくさん話してちまちまお酒飲んでいれば、食べてなくても目立たないと思うよ？」

相葉くんはそう言って励ましてくれる。

和「うん…そうだね…」

どんな言葉をかけられても明日のことが想像できて。

本当に気分はブルーだった。