・ ページ30
また、夢を見ていた。
終わらない手術の夢。
成功しない手術の夢。
大野さん。翔さん。相葉さん。潤くん。
みんなの命を救えない夢。
｢ッ……ハァ！ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…｣
｢ニノ…落ち着いて？大丈夫だよ？ニノ〜？｣
翔さんがいた。
｢ッ……うっ…、しょ…うさ…ハァ…ハァ…｣
俺が救わなきゃ…その想いがおっきな塊のように俺の胸に押し寄せて、受けとめきれない。
｢ニノ…大丈夫ここにいるよ？ここはねニノの部屋。
おまえ、玄関で倒れたんだよ？｣
翔さんの普段のトーンの声が耳に届いた。
やっと夢と現実の区別がついて。でも怖くて。
翔さんの胸元に頭を押し付ける。
あったかい手が背中を大きく行き来する。
｢ごめん……｣
｢ん？｣
｢迷惑……かけて…｣
｢迷惑なんかじゃないよ。一日、仕事乗りきってさ。
家まで帰ってこれたんだもん、な？｣
熱あるな〜って翔さんの手が顔を包んだ。
今日、初めてまともに目が合って。不覚にも涙が零れそうになった。
ゆっくりと背中をベッドに戻されて、翔さんが体温計をさす。
｢ちょっと聴診もさせてね？
どっか痛い所とかない？｣
｢あたま……ちょっと痛い…ッ｣
ぐるぐると回る目眩も。
｢気分も悪いんじゃない？
しばらくまともに食べて無さそうだけど…｣
お腹も聴診されて。もろバレだな。
翔さんが胃のあたりを触診する。
｢うぅ……やめてっ……｣
｢胃の動き、悪いね…｣
もう、気持ち悪いの戻ってきちゃったじゃん……
｢うっ……｣
｢あ、大丈夫？吐く？｣
洗面器を差し出されたけど、首を振る。
だって病院でもちょっと吐いたし、なにより食べてないからさ…
｢うぅ……うぇ…ッ…しょうちゃ……はぁ、はぁ……｣
えずくだけだから辛くて…
｢辛いな……｣
｢はぁ…うぅ……うぅ……気持ち悪い……っ｣
翔さんの手をギュッと握る。
大丈夫と握り返してくれるだけで、ほんの少し安心した。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 629人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cherry(プロフ) - みやこさん» 元々にのあいが好きなんですが、今月のノンノの泣き虫が可愛いくて…今回のお話ができました(笑) 今後もぜひ宜しくお願いします(*^^*) (2016年7月24日 22時) (
レス) id: f2132e69e9 (このIDを非表示/違反報告)
cherry(プロフ) - さとこさん» こちらこそ、拙いお話ですが読んでいただけて嬉しいです(^ω^) 夏休みに入ったので、もう少し更新のペースをあげて頑張りたいと思います(笑) 今後もよろしくお願いします！ (2016年7月24日 22時) (レス) id: f2132e69e9 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - にのあいと泣き虫のかわいさ…！悶えました。ありがとうございます。 (2016年7月24日 9時) (レス) id: 0a073ab433 (このIDを非表示/違反報告)
さとこ(プロフ) - cherryさんのお話大好きです！とても丁寧で、繊細に書かれていて…１つのお手本として読ませていただいてるところもあります( ´▽｀)お忙しい中更新、ありがとうございます。cherryさんの作品、楽しみにしてますが、ご無理はなさらずで！ (2016年7月23日 19時) (レス) id: 1170b35724 (このIDを非表示/違反報告)
cherry(プロフ) - にのらぶさん» 更新、滞っていてごめんなさいm(_ _)m 今日、やっとアップできました。次回の更新では、移行することになると思うので、そちらも宜しくお願いします(*^^*) (2016年7月23日 17時) (レス) id: f2132e69e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cherry
| 作成日時：2016年3月28日 12時
