【10】7 ページ14
【N】
「じゃあね」
みんなが帰って行っても丸椅子に座ったまま動こうとしない奴が一人。
パタン。
「ふぅ…」
ドアが閉まったと同時に無意識に息をついていた。
そんな俺の様子に気づいた彼はそっと点滴に繋がれた腕を撫でる。
「ごめん。無理させた。」
「ん……平気…」
こっちこそ ごめん。嬉しかったよ。そう言いたいけど熱い身体が言うことを聞かない。
みんなの前では、まだちょっと強がってしまうんだ。
でもあんたの前では…
「ﾊｧ…、ま……く、ん」
「うん。水ね？」
「ぅん…、そ、う…」
相葉さんが俺の身体をちょっと浮かせて、背中に腕を回した。
熱い口内に注がれた水が冷たくて気持ち良い。
コクリと飲み下すと体内に染み込んでいく感じがした。
つぅ…っと唇を伝った、水滴を相葉さんが指でクイッと拭き取る。
そんなわずかな刺激も痛いと思ってしまって、はぁ…と熱い息が漏れる。
「もういい？」
「ん……ﾊｧ…熱…下がんな…い」
「だーいじょうぶ 。下がるから」
相葉さんは、うわごとのように呟いた俺の頭を優しく撫でる。
そして背中の腕が抜かれて再びベットに寝かされた。
なんだかそれが酷く寂しくて…
「ま…くん……ｯ｡ここ……」
「うん。まだ帰んないから」
その声に安心して目を閉じる。入院する度に聞く、独特の優しい声だ。
その度にいつも俺はこの人の優しさに甘えてしまう。
困らせると分かっているのに聞いてしまう。
「ど…して、さ。おれ……こんな、弱い、んだ…ろ」
こう言うといつも相葉さんはヘラｯと笑う。俺の嫌いな笑い方。
本当に作り笑いが下手くそだ。でも。
「良いんだよ、強くならなくて。カズはそのままで良いの。」
そう言ってくれる時の目に嘘はないと分かるから。
俺は少し強くなれる気がするんだ。
【本当はツヨク…】fin.
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cherry(プロフ) - 雪架さん» ありがとうございます！心理描写は毎回ちゃんと伝わるか不安になりながら書いているので、嬉しいです(^^)ニノちゃんの病系は…私の萌えるポイントを詰めこんでおります(笑)なのできっと、楽しんでいただけると思います…(*^^*) (2015年3月18日 18時) (
レス) id: f2132e69e9 (このIDを非表示/違反報告)
雪架(プロフ) - 五人それぞれに色んな思いがあって、優しいお話がとても素敵だなって思います。いつも楽しませていただいています。にのちゃんの病系、ひっそり楽しみにしています！（*＾-＾*） (2015年3月17日 9時) (レス) id: dfc0dc1d1e (このIDを非表示/違反報告)
cherry(プロフ) - なみさん» ありがとうございます！お泊まり会、書いていてとても楽しいです(*^^*)素敵なリクエストありがとうございました(^^)拙い文章ですが、お付き合い下さい(^^) (2015年3月7日 21時) (レス) id: 182439bf5e (このIDを非表示/違反報告)
なみ(プロフ) - リクエストしたお話、早速書いて頂きありがとうございます！お泊まり会、私もワクワクしちゃいます^ ^続き楽しみにしてます！ (2015年3月6日 23時) (レス) id: 3c47c6d247 (このIDを非表示/違反報告)
cherry(プロフ) - 翔菜さん» 翔菜さん。コメントありがとうございます(^^)リクエストはPhoto Storyのパート1で、期間限定で受けつけたものとなっております。なので今は受けつけていないんです(^_^;)すみません…。また機会があれば、リクエストを募集するかもしれませんがf(^_^) (2015年2月5日 16時) (レス) id: 182439bf5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cherry
| 作成日時：2015年1月31日 14時
