不倫の話。 (ページ10)

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Chapter 9 ページ10

離婚届を貰いに行く前に隆平の家へと向かう。

亮ちゃんの車は隆平の家の門の前から消えていた。

ノックはするが、合鍵でドアを開ける。

一緒に来てくれた○○くんは、ドアの前で待ってくと合図して優しく私の背中を押した。

ドアを開けた途端、暗闇に吸い込まれそうになる。

「隆平？」

怖くなり、ゆっくりと彼の名前を呼ぶ。

『(名前？』

隆平は暗闇の中から出て来て、私の頬に触れる。

ホッとして手探りでカーテンらしきものを開ける。

『Aあかんっ』

日差しが部屋に差し、私は隆平の方を見て涙がこぼれそうになった。

「隆平....」

最初に目がいったのは彼の目の下のクマ。

クマを消そうと私はゆっくりと彼の目に触れる。

彼は弱々しく微笑み、乾燥した唇で私の額にキスをした。

『ごめん』

彼は腕を上げ、私の手を隆平の腕へと持っていく。

触るだけで分かる、彼が腕に付けた傷。

私は何も言わず隆平を抱きしめた。

『ごめ』

「もう謝らなくていい」

『A？』

「隆平。一緒に住もう？』

『A？』

「ん？」

『好き』

その瞬間に私の携帯が鳴った。

画面を見ると"○○"と見覚えがある名前が出る。

『出ていいで？』

「ありがとう....もしもし？」

横『おぉA？今日の夜俺の家やって事忘れてへんかなぁと思て』

「あ、そっか！了解」

横『それだけ、ほなまた後で』

「はーい」

電話を切ると隆平が私のことを見つめていた。

『今日横の家行くん？』

「うん..でも待ってて明日の朝帰ってくるから」

『うん...待ってる』

す『Aー！まだかー？お、丸！元気か？』

『あ！○○くん久しぶり』

「ごめん！○○くんいるの忘れてた」

す『お前なぁ..』

「じゃあ隆平待っててね。絶対帰ってくるから。」

『うん。待ってる。楽しんで来て』

「ありがとう」

隆平に優しくキスしてから○○くんを追って家から出た。