不倫の話。 (ページ20)

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Chapter 19 ページ20

隆平と会う約束をしたバーは電車で10分ほど。

そんなに近くもなく、

もの凄く遠くもないと言う事でそこに決まった。

彼とは現地集合。

今私は駅からバーまで歩いているところ。

駅からバーまでは3分ほどで着く。

バーに近づくほど心臓が口から出そうになる。

緊張して口の中が乾き、無い唾を飲み込むようにして歩くスピードを上げた。

バーの名前は『エイト』。

隆平がバーのマスターと知り合いらしい。

角を曲がるとちょっと暗くなった辺りに光る緑と白の看板。

あそこだ、

そう思い、足を止め携帯で髪をチェックし、息を吐く。

バーのドアの近くへとゆっくりと歩いて行くと、ハッキリと『バー・エイト』という看板がドアの上にも飾ってあった。

覚悟を決めてドアを開けると中からくる暖かい風が私の髪を乱した。

『いらっしゃい』

そう聞こえ、カウンターの方を見るとグラスを磨く背の高い、金髪の男の人と目が合った。

彼の前に座るのは、軽くパーマがかかった頭の男。

「..隆平？」

彼は凄いスピードで私の方に振り返った。

その拍子に耳にかかっていた髪が彼の整った顔に落ちて、私の心を揺らした。

『A?』

微笑みながら頷く私を見て彼は胸を撫で下ろした。

『Aかぁ～、ビックリしたぁ』

隆平はポンポンと彼の隣の席を叩き、私の方に手を出した。

私が隆平の隣に座った瞬間、金髪の男の人が私に声をかけた。

『なんか飲みますか？』

私が戸惑っている事を接して隆平は笑った。

『大倉、いきなり声かけたらビックリするやろ笑』

『あぁーそっか、ごめんごめん』

えーっと、と言いながら私に方を金髪の彼はもう一回私の方を見た。

『○○○○..です。好きなように呼んでください。一応ここのマスターやってます』

緊張し過ぎやろ！と隆平はもう一度笑い、私の方を見た。

「あっ！えーっと山村Aです、好きなように呼んで下さい。」

大『んー、ほなAちゃん..でいい？』

『別に俺と確認せんでいいで』

大『ほなAちゃん！』

「はい！」

大『俺は何で呼ぶん？』

「えーっと..大倉さん？」

大『えー、そんな壁作らんといてーや』

あっははと笑う彼はまるで子供みたい。

「ん～、じゃあ忠義くん？」

『はい！ほなAちゃんよろしくね』