The secret of contract 4* (ページ10)

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「A」

「はい」

「・・・どこか旅行行かない？」

「へ？旅行・・・ですか？」

「うん。デビューと舞台公演成功を祝して」

「まだ舞台終わってないじゃないですか・・・」

「でも成功するから。大丈夫」

自信満々に言う和さん。

「スケジュールの調整は任せた。

１泊２日の温泉旅行に行きたい」

「でもファンに見つかってしまったら」

「大丈夫だよ。誰にも見つからない秘湯を

探しておくから。せっかくAと行ける旅行なのに、

誰にも邪魔されたくない」

「分かりました。行きましょう。

ゆっくり休む良い機会になりますし・・・」

「ありがとう。A。楽しみだよ」

和さんは嬉しそうに微笑む。

「楽しみですね。旅行」

好きな人と行く旅行なんて初めてだ。

２人してニコニコと微笑んでいると、

あたしの携帯が鳴り、電話に出る。

「はい。木村です」

「翔です。先日はごめんね。

酔い潰しちゃって・・・」

「いえいえ。あたしの方こそ気を付けて

飲まなかったのが悪いので・・・。

ところでどうしたんですか？電話なんて」

「実は頼みたいことがあってね・・・。

大野のことなんだけど、疲労で倒れちゃって

２週間ほど安静にしておかないといけないらしいんだ。

和君明後日から舞台だよね？和君の邪魔をしたくないから

和君の舞台が終わってからでいいんだ。

俺のマネージャーになってくれないかな？」

「大野さんが・・・。ぜひともお力になりたいのですが、

私の方も和さんのスケジュール上お手伝いすることが

できず・・・」

「碓井さんが和君のスケジュール管理をしてくれるそうだよ。

来週、俺、遠方ロケに行かないと行けなくて。

碓井さんに遠方ロケの同行を頼んだんだけど、潤の仕事も立て込んでて

抜けることができないって。和君の現場は近いから、和君と潤を

見るから、木村さんに頼んでほしいと・・・」

「分かりました。和さんの方に確認を取ってから折り返し

連絡をします」

「本当にごめんね。それじゃあ」

「いえいえ。それでは、失礼します」

電話を切った。