The secret of contract 4* (ページ4)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:15,377 hit

１５４* ページ4

雅紀さんと社長は、しばらく和さんの稽古を見学していた。

「じゃあ、雅紀君。翔君のドラマ撮影が始まるから

移動しようか」

「あ。はい。翔さんのドラマ撮影見学が終わったらまた、ここに

戻ってきても良いでしょうか？色々と和君に聞きたいことがあって・・・」

「構わないよ。あー。でも、私は夕方から他の仕事があってね・・・。

木村さん、雅紀君を自宅まで送ってもらっても良いかな」

「はい。大丈夫ですよ」

「ありがとう。助かるよ。じゃあ、失礼するよ」

「ありがとうございました」

雅紀さんと社長は稽古場を後にした。

あたしは和さんの稽古の様子をじっと見ていた。

和さん演じる隼は、二面性がある。

表は、主人公である圭の探偵の仕事を手伝う助手。

裏は、圭が追い続ける連続殺人事件の犯人。

三木先生曰く、隼役は主人公よりも役どころが

難しいのだ。でも、その役を演じられるのは

和君しかいないと。和君の爽やかな笑顔の裏に

何か闇があるからと。

あたしも薄々気づいていたのだ。

和さんには過去に闇があると。それはあたしには

触れられない領域にあることを。

でも、和さんを知るたびに和さんのことを知りたくなる。

和さんはあたしが知ることを嫌がるように隠したがる。

和さんの過去の闇を知ったところで嫌いになるわけなんてないのに・・・。

色々考えていると、再び休憩時間になった。

「・・・A、楽屋に行こうか」

和さんが、Aと呼ぶときには仕事の顔ではない。

「はい」

楽屋に連れられ、和さんはあたしを抱きしめた。

「・・・ごめん。本当は仕事終わってから

聞きたかったんだけども、どうしても気になって

演技に集中できなくて」

「・・・心配かけてしまってごめんなさい」

「俺のせいでAを危ない目に遭わせてしまったんでしょ？」

俺のせい・・・？