The secret of contract 4* (ページ30)

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「・・・和さん。どこか体の調子が優れませんか？」

あたしは和さんに問う。

「ううん。大丈夫だよ」

普段通りの優しい笑顔。

でも何か隠しているように見える。

「そうですか」

でも、あたしの気にしすぎなのだろう。

「今日は仕事行けそう？」

「もちろんです。同行させてもらいます」

「じゃあ、よろしくね」

仕事に行く準備を進めるが、和さんはやはりどこか

ぼんやりしているように見える。

「和さん・・・？」

そう問うと、和さんはハッとしたようにこちらを見る。

「どうした？」

「・・・今日の和さん何か変です」

思ったことを伝えると、和さんは寂しげに笑う。

「ねぇ、俺ってそんなに頼りない？」

「え？」

「Aが無理をしてまでも守らないと俺って駄目なのかな？」

「決してそんなことは・・・」

あたしは和さんのことを大切に思っていて、今まで積み上げてきたものを

壊したくなくて多少無理をしてでも和さんを守りたかった。

「・・・俺を守るためにAが辛い思いするのは嫌なんだ。

三浦財閥の力で俺の存在が芸能界から消されたっていい。そんなことで

俺はAを責めたりしないし、むしろ消されたって這い上がって行くだけ。

だから・・・俺に迷惑を掛けたくないだなんて思わないで。

彼氏なんだから頼ってよ。もう無理しないで・・・」

和さんは泣きそうな顔であたしを抱きしめた。

「・・・俺のために悲しい思いしないで。俺にたくさん迷惑かけてよ。

もっと甘えてよ」

和さんの頬から伝った涙があたしの頬に落ちる。

「・・・ごめんなさい」

謝ることしかできなかった。

あたしも和さんにちゃんと相談するべきだった。

両親を亡くしてから１人で生きて行かないとっていう思いが強かった。

でも、もうそんなことはない。あたしの前には甘えてって言ってくれる

人がいる。もうあたしは１人じゃないんだ。