夢桜４* (ページ10)

今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:37,028 hit

１６０* ページ10

「洋二郎様に触れても良いですか？」

妖艶なAの声。

俺でさえも言われたことないのにあの男になぜ・・・。

きっと酔わせて脱がせて紙を探るのだろう。

部屋の外で会話を聞くなんて悪趣味なのは分かっているが

Aにもしもの事があったら・・・。

しばらくすると男のうめき声が聞こえた。

まさか・・・。

少しだけ襖を開けてみる。

上半身裸の男に馬乗りのA。

男の手に握られていた紙をAは取る。

「そこにいるのは誰？」

Aは振り向く。

俺はAに見つからないように隠れた。

Aは部屋から出てきて辺りを見渡し、男から

取り上げた紙をしまった。

Aは無事みたいで良かった。

翔にばれると大変だから帰るとするか。

--------------------------------------------------
何者かの気配を感じ、部屋を出て辺りを見渡すが、

誰もいなかった。気のせいか・・・。

あたしは部屋に戻り、気絶した洋二郎さんを褥の上に寝かせる。

裸で褥で寝ている自分の姿を見たら女を抱いた後だと錯覚するだろう。

そしてお酒を飲み干した後があれば酔って何も覚えていないということに

なる。

情報が手に入ったのでここにもう用はない。

次ここに来るのは四日後。

あたしは普通の着物に着替え、華屋から出て行った。

「A」

華屋から出ると和さんが待っていた。

「どうしてここに？」

「そろそろ終わる頃だと思って。夜道は危ないから

迎えに来た」

「ありがとうございます」

和さんはあたしの手を握る。

「何もされてない？」

「はい。大丈夫です。情報もたくさん

仕入れましたよ」

あたしがそう言うと和さんはふっと笑った。

「それは楽しみだ」

城に着き、和さんと一緒に部屋に入った。

「お酒の匂いがするね」

和さんはあたしの首筋に顔を近づける。

「んっ・・・」

くすぐったくて声が出てしまった。

「可愛いな」

帯を解かれる。

「どうせなら花魁風に俺の事を惑わせてみてよ」

和さんは頬を赤くしながら言う。

ふと頭の中に“洋二郎様に触れても良いですか？”という

言葉が頭に浮かんだ。