夢桜４* (ページ45)

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～和side～

俺は、翔たちの部屋の扉を軽くたたく。

「翔？孝之さん？俺だけど」

扉が開き、翔が心配そうな顔をする。

「あれ。お嬢さんは？」

「樹君の所に行ったよ」

「・・・和。不機嫌だね」

「そんなことないよ」

俺は平然を装うが、翔には分かってしまうようだ。

「とりあえず入って」

「ありがとう」

部屋に入ると、そふぁに座る孝之さん。

「あぁ。和。さっきはすまない」

「いえ。こちらこそ。何かこの辺が苛々して」

「・・・嫉妬だね」

翔が言う。

「お嬢さんと和と俺で買い物行ったときだって、俺に嫉妬してたでしょ。

しかも樹君は、お嬢さんが現代で生きていた頃を知っている。

和が知らないことも全部。一緒にいる年数も違うからね」

確かに、樹君は俺の知らないことを知っている。

一緒にいる年数も違う。

「俺の冗談だって鵜呑みにしちゃうしね」

孝之さんは言う。

「孝之さんの場合は、冗談に聞こえない」

「んー。半分冗談で半分正直に言ってるからね？」

「Aに惚れてるの？」

「和がお嬢を泣かせるようなことするなら俺はお嬢もらうけど」

「俺がAを泣かせるようなことをするとでも？」

「いいや。そんなことはないと分かってるからこういう事言えるんだよ。

・・・でも泣かせたら俺がお嬢をもらうから」

孝之さんの鋭い目つき。まさか本気でAのことを・・・？

「俺は翔とは違って和のものに手を出さないと約束できないからね？」

「・・・それは冗談ですか？」

「さぁね」

孝之さんはふっと笑う。

やっぱり孝之さんはよく分からない。

「まぁ和。一旦落ち着こうか。

お茶淹れたからさ」

翔は湯飲みにお茶を注いでくれた。

「ありがとう」

俺はそふぁに座らせてもらった。

「・・・やっぱりA迎えに行ってくる」

俺はいてもたってもいられず樹君の研究室に向かった。

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