夢桜４* (ページ44)

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ホテルに向かう途中もついてからも和さんは

あたしの手を握ったまま。

「和さん？」

「ん？」

「手・・・」

「だめ？」

「駄目じゃないんですけど・・・」

「じゃあ、繋いだままで」

「はい」

翔さんにカードキーを渡す。

「これはこうやって使うと部屋の鍵が空きます。

ドアを閉めると、自動的に鍵がかかってしまうので、外出時は必ず

このカードを持ってください」

「わかった。このかぁどを持てばいいんだね？」

「はい。このカードさえあれば何とかなります」

「分かった」

「横の部屋は、あたし達なので何かあったら扉を叩いてください」

「承知した。お嬢。本当に俺とじゃなくて良かった？」

冗談めかして言う孝之さん。

「・・・孝之さん？」

和さんの低い声。

あたしが何かを言おうとする前に和さんがあたしの前に立つ。

「孝之さん。部屋入りますよー」

翔さんに手を引っ張られ連れて行かれる孝之さん。

「・・・あたし達も部屋に入りましょか」

「そうだね」

鍵を開け、部屋に入る。

「和さん。怒ってますか？」

「え？なんで？」

いつもの和さん。でもどこか違う。

「どこか体調でも・・・？」

「いや、大丈夫だよ。それにしてもここすごい部屋だね」

「そうですね。窓から景色が綺麗に見えます」

「すごいなぁ・・・。翔たちの部屋もどうかな？」

「見に行きましょうか」

翔さん達の部屋に行こうとすると、あたしの電話が鳴る。

「はい」

「Aちゃん。ごめん。今日はゆっくり休んでほしいと言ったけど

来てほしい」

「わかりました。すぐ伺います」

「・・・樹君？」

「はい。何か進展したようで。様子見に行ってきます」

「うん。わかった。翔の部屋には一人で行くよ」

「すみません。多分すぐ帰れるのでカードキーはあたしが持っていきますね」

「分かった。俺、Aが戻るまで翔の部屋いるから

声かけて」

「わかりました」

和さんと一緒に部屋を出て、あたしは先輩の研究室へ向かった。