夢桜４* (ページ35)

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部屋の前に着くと郵便受けに隠しておいた鍵を使ってドアを開ける。

ドアを開けると、部屋はそのままになっていた。

まだ解約されてなかったんだ・・・。よかった。

急いで着物からワンピースに着替える。

和さん、翔さん、孝之さんに部屋に入ってもらう。

「すみません。だいぶ狭いところですが・・・」

「ここはAの家？」

「はい。家というか建物の一室を借りている状態です」

「へぇ・・・」

「・・・俺達は江戸に戻れるのかな」

翔さんがぼそりと呟いた。

「時の歪みについて調べている知り合いがいるんです。

あたしが江戸に行った事でその知り合いの記憶から消えているかもしれませんが

この部屋も解約されてなかったから、その人もあたしのことを覚えてくれているかも

しれません・・・」

「その人のところに行くのでみなさんは待っていてください。

もしかしたらすぐに帰れるかもしれません」

「・・・町へ行ってはいけない？」

和さんが残念そうに言う。

「せっかくだしへいせいという時代を楽しみたい。

だめかな？お嬢さん」

「なんだっけな。ぱんけぇき？というものも食べてみたいなぁ」

翔さんと孝之さんが言う。

「せっかくだし、ここの時代を楽しみましょうか。

その知り合いのところに行ってから一緒に見て回りましょうか」

そう言うと嬉しそうにみんなが顔を見合す。

和さん達と共に先輩の研究所へと向かった。

町を歩くと、すれ違う人があたし達を見る。

そうだ。まだ和さん達は江戸からきた服装のままだった。

江戸から来たままの服装ではここの時代では浮いてしまう。

「まずは服から買いましょうか」

あたし達は服屋に入る。

服屋に入るとみんな目を輝かせる。

「洋装の種類がこんなに増えるんだ・・・」

「すごい。見たことない洋装ばかりだ・・・」

「これはどう着るんだ？」

小さな子どもみたいに目を輝かせ、色んな服を見ていた。

「あたしがみなさんに服選びますよ」

部屋のタンスの中に少しの貯金をしまっておいたのだ。

みんな細身で鍛えられてるから何を着ても似合う気がする。

あたしはとりあえずみんなのイメージで服を選んだ。