夢桜４* (ページ18)

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～和side～

「だってよ」

翔が変な笑顔を浮かべながら笑う。

少し顔を赤くして“翔さんの側にいてもあたしは和さんの事

好きになってました”って・・・。

可愛すぎる・・・。

「可愛すぎて嫌になる・・・」

俺はぼそりと呟く。

「本当にお嬢さんの事好きなんだね」

ふふっと笑いながら言う翔。

襖が開き、孝之さんが入ってきた。

「珍しいお茶を淹れてきた。

お嬢に途中で会ったからお嬢にも

渡してきた」

「お嬢さん照れちゃって部屋から出て行っちゃった」

翔は笑いながら言う。

「孝之さんこのお茶は？」

これ以上Aの話をしたら自分が限界なので

話を変える。

「町で珍しいという売り文句で茶葉を売っていたから

買ってきた」

「へぇ・・・珍しい香りがする」

翔はお茶の香りを楽しんでいた。

確かに嗅いだことのない香りだ。

俺は一口飲んでみる。

めまいがした。

「和！」

翔と孝之さんの声を聞きながら俺の意識は遠のいていった。

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部屋で和さんと翔さんのほつれた袴を直していた。

部屋に戻る途中で孝之さんからもらったお茶を

飲んでみる。飲んだ事が無い味。少し甘い。

「お嬢！！」

襖の外で孝之さんが呼ぶ。

「はい」

あたしは襖を開けようとするとめまいがして

床に座る。

「お嬢！？お嬢もあのお茶を飲んだの？」

「はい・・・」

「お嬢！気を確かに！」

孝之さんの声を聞きながら意識が遠のいていった。

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～翔side～

和を褥の上に運ぶ。

お茶の香りを嗅ぐが、毒の香りはしない。

毒ではない。孝之さんが仕組んだとも

思えない・・・。

和はすやすやと寝息を立てていた。

ただ疲れていたというわけではないだろうか。

お嬢さんもこのお茶を飲んで眠っているというのなら、

このお茶には大量の睡眠薬が入っているのかもしれない・・・。

「翔！」

お嬢さんを抱え部屋に戻ってきた孝之さん。

「お嬢さん！」

孝之さんの腕の中ですやすやと眠るお嬢さん。

「孝之さん。この茶葉を売った売人の顔は覚えている？」

「あぁ。なんとなくなら」

「二人の事は喜助たちに任せて売人を探そう」

「そうだね」

俺は喜助たちに二人を任せ、孝之さんと一緒に町へ出た。