夢桜４* (ページ15)

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「郷の掟には絶対に逆らえなかった。でも俺たち高松家は

将軍にずっと掟を変えるように言っていた。

そしてある日、俺に郷から出て行くよう文が来た。

俺だけが郷から追い出された。俺が、全員連れて

郷から出て行けば信之は壊れることは無かったのだろうと

思う」

「でもそれは孝之さんのせいではないです。

なぜ将軍の身内を消すために和さん達が人斬りとして

働かなければならないのか。

あたしにも良くわからなくて・・・」

「そういう世界だよ。将軍が自ら

手を下すことはない。自ら手を下してしまえば

罪に問われてしまうから」

孝之さんはため息をついた。

「将軍の手を汚さないために。世の中の循環を

良くするために俺たちは生まれたみたいなものだよ」

孝之さんは悲しげに笑った。

そうか・・・。孝之さんも人斬りとして教育されていたんだ。

「将軍のために命を捧げ将軍のために散る。

俺たちはそう言われてきた。

将軍が死ねと言うのなら自ら腹を斬る。

将軍を狙う者がいるのなら将軍のために

自らを犠牲にしてでも守り抜く」

「そんなひどい事を・・・」

「あぁ。あの郷に生まれたら当たり前の事だよ」

ふっと笑う孝之さんの目は悲しげだ。

「でもあの時の将軍はもういない。

今の俺の主はお嬢だ。

お嬢になら忠誠を誓えるよ」

孝之さんはあたしの手をすっと取った。

「命に代えてもお嬢を守ります」

手に口づけを落とされる。

「あの・・・えっと」

漫画でよく見るような光景にドキドキする。

困っていると孝之さんは吹き出した。

「お嬢は本当に可愛いなぁ。守りたくなる」

ニヤニヤしながら言う孝之さん。

「あたしは主でも何でもなくてただこの城に

住まわせてもらっているだけです」

「でも和の代わりに将軍として身を置いているわけでしょ？」

「確かにそうですが将軍は和さんであってあたしは・・・」

「俺の大切な人に手を出さないでいただきたい」

和さんの不機嫌な声。