夢桜４* (ページ12)

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「A。おはよ」

和さんの声が聞こえ、目を覚ます。

「華屋の潜入調査の結果を報告しに行こう」

「はい」

あたしは急いで身支度を整える。

「行こうか」

和さんに連れられて、翔さんの待つ部屋に行く。

「失礼します」

襖を開けると、孝之さんもいた。

和さんは翔さんの隣に座る。

あたしは和さん達の前に座った。

「昨夜の華屋の潜入調査の結果です。

倒幕派の会合は３日後の夕刻。そして会合の主催者に

近い人物が持っていた紙も盗んできました」

あたしは洋二郎さんから盗んだ紙を和さん達の前に置く。

和さんは紙を広げ驚く。

「・・・A。よくこんな紙を盗んだね」

和さんは言う。

「確かに。よく盗めた」

翔さんも言う。

「お嬢・・・忍びの才能があるのかもしれない」

孝之さんまでも言う。

「何が・・・書いてあるんですか？」

あたしが聞くと、和さんは頷く。

「役員名簿だ」

作戦ではなかったか・・・。

少し残念に思ったが役員名簿を手に入れられて良かった。

「会合が開かれる前に数人捕えて当日の仕事を減らしておこうか」

翔さんはふぅとため息をつく。

「俺も行くよ」

孝之さんは言う。

「孝之さんは当日だけ協力してもらいたい。当日に備えて

体を休めておいて。Aは当日、俺たちと一緒に現場に

乗り込んでほしい。遊女として。当日までは城にいてくれ」

和さんが言う。

「はい」

あたしは返事をする。

「分かった。俺は大事を取って休ませてもらう」

孝之さんは頷きながら言った。

「和様。お食事の支度ができました」

部屋の外から喜助さんの声が聞こえる。

「あぁ。ありがとう。今いくよ。

報告も終わったことだし、朝食にしようか」

朝食を食べに部屋を移動した。

いつ見ても思うが、栄養バランスが良さそうな朝食。

喜助さん達のおかげであたし達は体の調子を崩すことなく

暮らせているんだなぁ。

現世にいた頃は学業とバイトの両立が難しくてバランスなど

考えず料理を作っていた。

「A？」

しんみりとしていると和さんが心配そうな顔であたしに声をかけてくれた。