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マンションに着き、エレベータのボタンを押す。
「荷物持つよ」
和君はすっとかばんをもってくれた。
「和君はまた学校に戻るの？」
「ううん。今日はあの仕事だけ。
明日から遅くなるから今日ぐらいは早く帰ろうと思って」
「そっか。頑張ってね」
「頑張ってねって・・・。
Aも朝練参加して放課後の部活も参加してもらうんだよ？」
「あー・・・そうだったね」
「頼むよ。野球部マネージャー」
「はーい」
３階に着き、エレベーターを降りる。
和君から荷物を受け取った。
「和君。ありがとう。また明日ね」
和君に手を振り、あたしは３０１号室に入った。
ドアを開けると、電気もついていなかった。
電気をつけ、リビングに入ると机の上に紙が置いてあった。
「Aへ
お父さんが急に出張になったからお母さんも
一緒に行ってきます。お隣さんの和君と
仲良くしてね！一週間ぐらいで戻ってくると思うけど、
のびたらごめんね お母さんより」
手紙を読み終え、夕食の準備のために
冷蔵庫を開ける。
何もない。でも今から買い物に出かけてもな・・・。
考えていると一つの案が浮かんだ。
あたしは部屋を出て、隣の３０２号室のチャイムを押した。
「はい。二宮です」
「隣の田内です」
「え？まぁ、入ってください」
和君にドアを開けてもらい、３０２号室に入った。
「あれ？Aのお母さんたちは？」
「お父さんが出張だからお母さんも付いて行ってるんだ。
和君夕飯まだ？」
「今から作るところだけど・・・」
「あたしの分も作ってくれる？」
「え？なんで？」
「さっき冷蔵庫見たら牛乳とかぐらいしかなくて・・・。
今から買い物に行ってもなーって思ったから和君に
御馳走してもらおうと思って。おごりなしでいいから」
「おごるのなしになるなら、作ってあげる」
「やったー」
和君はエプロンをしめ、冷蔵庫を開けた。
「オムライスだけどいい？」
「和君オムライス作るの？」
「本当は簡単なものにしようかなって思ったけど
Aいるから少しいいもの作ろうと思って」
「オムライス好きだからいいよ。
ありがとう」
あたしはオムライスを作る和君の背中を見つめていた。
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作者名：黒猫* | 作成日時：2014年5月6日 17時
