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「もしもし？着いたけど迎えに行った方がいいかな？」
「大丈夫」
「いや。迎えに行くよ」
和君はそう言って、電話を切った。
荷物を持って、ドアを開けると和君がすでにいた。
「え？早くない？」
「早いでしょ？迎えに行くって言ったときにはもう
２階にいたんだよ」
「そういうことね・・・」
すっと当たり前のように和君はあたしの荷物を持つ。
和君は何も気づいていないのかな。
気付いていないならそれでいいんだけど・・・。
エレベーターが１階に着き、車に乗る。
「何かさ、怖い事あったんでしょ？」
和君が聞く。
和君にはやっぱり隠し事できないみたい。
「ううん。何にもないよ」
でも、和君に伝えたら和君に迷惑かけちゃうから。
須賀原君の事でも迷惑かけたのにまたかけたくない。
だから・・・絶対言わない。
「そっか」
和君は首を傾げながら言った。
和君。勘が鋭いからばれるのは時間の問題かな・・・。
学校に着き、車から降りる。
当たり前のように和君はあたしの荷物を持つ。
「持つよ。自分の荷物だし・・・」
「いーの。俺が持ちたいから」
「自分のだし・・・」
和君は急に止まり、あたしの方を見た。
「なっ・・・何？」
おでこを指でつんっと押す。
「っ・・・」
「素直に甘えてくれればいいの。バカA」
ニッと笑った和君。
職員室のドアを開けるとひんやりとした空気が頬を撫でる。
「Aのためにクーラーつけといた」
あたしの荷物をソファの上に置く。
「ありがとー」
「真夏じゃないし、設定温度高めだから」
「うん。分かったー」
「じゃ、シャワー浴びてくるね」
「はーい」
和君が保健室についてくる様子はなかった。
「ねぇ。和君？」
「ん？」
「保健室で待っててくれない？」
「別にいいけど・・・どうして？」
「犯人捕まったけど・・・やっぱりまだ
怖いから・・・」
「須賀原がAのストーカーかどうかはまだ
断定できないからね」
和君、たぶん勘付いてる。
「そうだね・・・」
あたしは和君とともに保健室に向かった。
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作者名：黒猫* | 作成日時：2014年5月6日 17時
