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「え？じゃあ、俺がキスしたらAちゃんの
ファーストになっちゃうの？」
「そうなりますね・・・。
本郷先輩、急に名前で呼びましたね・・・」
「でも監督の女だから取れないなー」
ふふっと笑いながら言う。
「監督の女って・・・」
「監督の女じゃなかったら俺、Aちゃん好きになってたよ？」
「先輩冗談やめてくださっ・・・」
本郷先輩に壁に押さえつけられる。
「冗談じゃない。
俺はいつだって本気」
先輩の真剣な声に声が出なくなる。
「っ・・・・はははは」
吹き出すように急に笑い出す本郷先輩。
「え？」
訳が分からなくてじっと先輩を見ていると、
「からかいやすい。ほんと。
監督も面白い子をマネージャーにしたなぁ・・・」
「嘘なんですか？」
「もちろん嘘だよ。
俺が、Aちゃんを好きになると思う？」
「何かそれ、侮辱してません？」
「んー？きのうせい。
俺ね、下級生には興味ないの」
笑いながら本郷先輩は言う。
「だから、Aちゃんは妹としてしか見てないよ」
まだケラケラ笑っている。
「本郷先輩笑いすぎです」
そう言うと、先輩は深呼吸をした。
「あー。ごめんね。ちょっと笑いすぎた。
でも俺は、下級生に興味ないし手を出さないから
安心して俺と仲良くして？」
「・・・分かりました」
「まぁ、もしもの時は守ってあげるよ」
「ありがとうございます」
本郷先輩は想像してたより優しいみたい。
スコープマンションの看板が目に入る。
「あたしの家ここなんで、大丈夫です。
わざわざありがとうございました」
マンションのエレベーターのボタンを押して、しばらく待つと、
エレベーターのドアが開く。
「あ。A」
「お母さん」
「どうしたの？」
「お父さんの出張が一年延びちゃって・・・。
私は荷物を取りに来たの。
隣には和也君もいるから大丈夫かなって思って・・・。
また何かあったら連絡してね？」
「うん。行ってらっしゃい。頑張ってね」
お母さんは大きな荷物を持って、駐車場に停めてある車に乗った。
お父さんの出張が延びることはいつものことだ。
３日間。１週間。１ヶ月・・・。
初めはそう言うのに、絶対１年に延びるからね。
忙しいのはちゃんと理解してるから、寂しいなんて思わないようにしてる。
マンションに乗り、３Fのボタンを押した。
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作者名：黒猫* | 作成日時：2014年5月6日 17時
