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「A−。起きてー」
頬をつんつんとされ、目を開けた。
「部活終了時間だから」
「あ。うん。顔洗ったらすぐ行く」
「分かった。俺先行ってるね」
和君はそう言って、保健室から出た。
顔を洗って、眠いからだを起こす。
保健室から部室に行って、クーラーボックスに
ケーキの箱をいれた。
クーラーボックスを持って、グランドに向かった。
「あ。マネージャーも来たし全員そろったかな。
今日は、マネージャーが体調を崩してしまって
俺も側についていたので午後練の様子をそんなに見れていないけど、
保健室の窓から、こっそり君たちの練習を見ていた。
思った事は、昨日の練習試合を生かして練習できていた。
確実に君たちは成長している。
２年生。３年生。１年生も。
１年生はやっぱり、２年、３年に比べてうまくないけど
これから練習を続けていけば、きっと上手くなるよ。
明日も朝練あるから、ちゃんと来てね。終わります」
「監督。言いたいことがあります」
「ん？言っていいよ」
「今日は、あたしの体調管理不足でみなさんに
ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
頭を下げると、「全然いいよ。体調悪いのに無理させちゃってごめんね」
と本郷先輩の声が聞こえた。
頭をあげると、みんなにっこり微笑んで、頷いていた。
「・・・あと、今日みなさんに伝えたことやってもいいですか」
いいよ。とみんなの声。
「監督。伝えたいことがあります。
せーのっ」
“Happy birthday to you Happy birthday to you Happy birthday dear 監督
Happy birthday to you. 監督。誕生日おめでとうございます！”
さすが野球部員。息がぴったりだ。
和君を見ると、微笑みながら若干涙ぐんでいる。
和君涙腺弱い。
「監督。ケーキです」
クーラーボックスからケーキの箱を取り出す。
「ありがとー」
箱を受け取る和君。
「いや、本当にありがとう。
俺の誕生日なんて誰も知らないと思ってたから・・・。
誰が分かったの？」
「マネージャーです」
部員の中の一人が言う。
「あー。田内が？」
「ばっちり調べましたから」
笑いながら言うと、
「先生の個人情報見ちゃったのかー」
和君は冗談っぽく笑う。
本当は調べていない。和君の誕生日。
ちゃんと覚えていた。
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作者名：黒猫* | 作成日時：2014年5月6日 17時
