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部活開始時刻になり、和くんがグランドに来た。
「グランド集合！」
和君の声でみんなグランドの中心に集まる。
「１・・・２・・・」
和君は人数を数えたが、途中で驚いて止まる。
「あれ。一人多い」
「あ。僕、野球部マネージャー希望の一年一組の須賀原啓一です」
「あ。須賀原ね。うん。分かった。
マネージャー体験は田内に聞いて」
「はい」
男子でマネージャー希望は珍しい。
確かに須賀原君は選手というよりマネージャー向きな感じがする。
身長が高くて細身のひょろりとした人。
肌も白くて運動もしなさそうだ。
「田内さん。おねがいします」
「こちらこそおねがいします」
丁寧に須賀原君が頭を下げてきたのであたしも頭を下げた。
「えっと、今日のメニューは校外ランニング、筋トレ。
筋トレが終わったらまた次やること言います」
「はい」
部員達はキャプテンを先頭に校外ランニングへと出かけた。
「須賀原。本当にマネージャーでいいの？」
和君は聞く。
「はい。僕は見ての通り運動できないですから」
「そんなことはないよ。一年生の入部希望者の中にも
ずっと文化部だったのに高校で野球に初めてチャレンジするっていう人もいるよ」
「いや。僕はマネージャーとかのほうが自分には合ってると思うんです」
「そっか。分かった」
和君は渋々頷いた。
「田内。須賀原にマネージャーの仕事教えてあげて」
「はーい」
和君が自分の事を田内って呼ぶのは何か少しだけ違和感がある。
あたしは須賀原君にマネージャーの仕事を教えた。
「んー・・・買い出し行こうか。
ランニングでたくさん汗かいて帰ってくるだろうし・・・」
「あ。そうですね」
須賀原君はあたしに敬語を使ってくれる。
「えっと・・・あたしも一年生なんだけど・・・」
「知ってますよ。でも、田内さんのほうがマネージャーやった日数が
多いですし・・・」
「いやいや。あたしは、ただ小学校でソフトの経験があって、
野球部のマネージャーが緊急で募集されてたから入ったら
正式にマネージャーになれただけだよ？
同じクラスだし敬語使わなくていいよ」
「ありがとう」
須賀原君は納得してくれたようだ。
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作者名：黒猫* | 作成日時：2014年5月6日 17時
