幼馴染先生。 (ページ29)

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「今のAに何も思い出させないほうがいいね。

本郷。今から学校来れる？」

「はい。行けますけど」

「本郷が知ってる範囲の話聞かせて」

「分かりましたー」

あたしは和君に背負われて校内へと入った。

職員室に入り、あたしはソファに座らせられた。

和君は隣に座ってあたしの手を握ってくれた。

本郷先輩は前の椅子に座る。

「A。聞きたくなかったら

聞かなくてもいい。話せるぐらい落ち着いたら

話してね？」

優しい声で和君はあたしに語りかける。

もう話せるよと話そうとしても声が出なかった。

「本郷はどうして現場に居合わせたの？」

「俺、毎日学校の周辺をランニングしてて・・・。

何気なく走ってたら田内ちゃんの声が聞こえた気がして。

声のする方に走って行ったら田内ちゃんが男に襲われてて・・・」

「脱がされてたのか！？」

和君は急に立ち上がって聞く。

「いや。脱がされてませんでしたけど・・・。

服の上からか直かどうかは分かりませんでしたけど・・・

胸は触られてましたね」

本郷先輩の話を聞いて和君の手の力は強まる。

「絶対犯人捕まえて、Aに謝らせる」

和君がぼそりと呟いた言葉はあたしの耳にはっきりと聞こえた。

「・・・で、監督は何か策とか考えました？」

本郷先輩が聞く。

「あー。とりあえず、一週間Aに学校に泊まってもらおうと思ってるよ。

俺、一週間、週直だし」

「え？先生と生徒二人っきりで夜を共に！？」

本郷先輩が驚いたようにあたしと和君を交互に見る。

「いや・・・。本郷だけに伝えておくけど

俺とAは幼馴染なんだ」

「え？そうなんですか？」

本郷先輩は驚きを隠せない様子。

あたしが言うと、本郷先輩は少し落ち着いたようだ。

「本当は、誰にも言いたくなかったの。

俺とAが付き合ってるとか、変な噂を流されたくないからさ。

そんな噂、お互いに迷惑だから」

和君は真剣な表情で言った。