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グランドにはもう数人部員が来ていた。
「あ。本郷先輩」
バットの素振りをしている本郷先輩がいた。
「田内ちゃんおはよ」
ニコッと笑う本郷先輩だが、この人に色々見透かされていそうで怖い。
「仲良く二人で登校ですかー」
和君とあたしを見ながら言う。
「たまたま会ったからね」
「へー・・・」
本郷先輩はニヤニヤしてあたしの側に来た。
「田内ちゃん、監督の事好きなの？」
「へっ！？そんな訳ないですよ」
急いで否定するが本郷先輩はニヤニヤしたままだ。
「誰にも言わないから安心して？」
「だから違いますって・・・」
否定したが本郷先輩は自分の練習に戻っていた。
刈山高校の様子をまとめていたら部員たちがグランドに集まってきた。
「集合」
和君の声がグランドに響く。
「今日はいよいよ刈山高校との練習試合です。
昨日、田内と一緒に刈山高校の部活風景を見てきたけど
刈山高校は本当に強い学校だと思います。
だからこそ、学べることがあると思うので全力で
強豪校に立ち向かってください。田内。刈山高校野球部の
様子の報告して」
「はい。刈山高校野球部は、今日の練習試合を
イメージした練習をしていました。
球を投げるスピードは速く、バットで球を飛ばす距離も長いです。
でも、井桜高校が刈山高校に勝っている点はあります。
それは、足の速さです。うちの野球部は、陸上経験者が
多いので、普通の野球部と比べて早い方だと思います。
全力で応援するので、頑張ってください」
「はい」
威勢の良い返事が返ってきた。
「ウォーミングアップして」
和君が言った。
「刈山高校ねぇ・・・」
和君はあたしが書いた紙を見ながら言う。
「俺思うんだけどさ、ここが強いのはしょうがないって。
だってスポーツで有名な学校だし、県大会入賞者とるし・・・。
それで強豪校と呼ばれなかったらおかしいからね。
本当はこういうこと言っちゃだめなんだけどね」
ふふっと笑いながら和君は言う。
「今日は和君が見る井桜高校野球部の初めての試合だもんね」
「うん。勝ってほしいんだけどね・・・」
不安そうにウォーミングアップをする部員を和君は見ていた。
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作者名：黒猫* | 作成日時：2014年5月6日 17時
