１１* ページ11
ジャージから制服に着替え、更衣室から出た。
「あ。先生」
更衣室から出ると、和君が待っていた。
「内田君のポジションどうしようか」
ため息交じりに聞く和君。
教室に向かいながらあたし達は歩く。
「バッターは無理ですよ。
あたしのゆっくりな球でも打てませんでした。
キャッチャーならなんとか・・・」
「キャッチャーねぇ・・・。
正直言って、今年の一年の野球部希望者は
逸材がいない」
「ですね」
確かにいない。今日の朝の練習を見ていて
分かった。
「甲子園は、今の２、３年に関わっているから良いんだけど、
３年生が引退してからの事を考えるとなぁ・・・」
和君は困った顔をする。
「いや、大丈夫ですよ。先生。
一年で鍛えましょう」
「そうするしかないなぁ・・・」
和君は困ったように言っていたがすぐに笑った。
「じゃ、俺は職員室行くからAは・・・
いや、田内は教室行ってて」
和君は急いで職員室に向かった。
和君が先生ってやっぱり慣れない。
でも、学校でも側にいられるって少し嬉しいかも。
教室に入り、荷物をまとめた。
「Aちゃんだよね？」
後ろの子が呼ぶ。
振り向くと、ショートカットで元気な感じの
女の子。
「うん。田部・・・」
「明日香。田部明日香。
このクラスにうちら二人ぐらいしか女子いないみたいだから
よろしくね。仲良くしよう」
「うん。よろしく」
「あれ。マネージャーだよね？」
荷物をしまっていると、背の高い坊主の人に話しかけられる。
野球部希望者だ。
「そうだけど・・・誰？」
「俺は、佐々木枝麻。えまでいーよ」
チャラチャラしている。
「えま、うるさーい」
後ろから明日香ちゃんの声が聞こえた。
「Aちゃんごめんね。
うるさいえまだけど、野球部で
鍛えてあげて」
「鍛えてあげてって・・・初心者？」
「うん。俺、初心者だよ。
明日香と同じ、海神中学出身。
元陸上部だったから足の速さには
自信がある」
「え。まって。足早かったっけ？」
明日香ちゃんが笑いながら言った。
「早いよ！海神中で一番早かったから！」
「へぇー。初耳」
「本当だって。Aちゃん！本当だからね？」
「うん・・・信じる」
「絶対信じてない。明日香のせいだ」
「いや、うちは悪くない」
ケラケラと笑う明日香ちゃん。
二人とも仲いいなぁ・・・。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒猫* | 作成日時：2014年5月6日 17時
