はろーわーるど【ケイ・キャロル】 ページ37
間違えて2年生の時の教室に入りかけながらも、ケイとマリアリリィは3年B組の教室へと到着できた。
ケイは教室の扉をそっと開け、中を覗き込んだ。
ホームルームまでまだ15分以上ある。3年も通っていると時間ギリギリに来る人が増えるのか、机の半分以上はまだ空席である。
ちなみにケイは朝に弱い方である。
しかし、彼女の頼れる真面目な人形マリアリリィが、起きてこないケイの頭に容赦なく冷水をぶちまけて強制的に起こしているため、遅刻は皆無の優等生だ。
冷水はやめてほしいな、とケイは前々から文句を言ってはいるが、マリアリリィによると目覚まし・洗顔・寝癖直しが一度でできて効率的らしい。
なんとなく納得してしまった。
さて、新しいクラスでの第一歩というのは、誰にとっても緊張するものだ。
マリアリリィも、何やら手帳を眺めながらぶつぶつ呟いているケイを鞄の中から静かに見守っていた。
きっと、クラスでどうやって友達を作るかなどを考えているのだろう、と。
……しかし、その手帳が自分がケイのために書いた『ケイでも使える呪文リスト』であると気づいた時点で、ふと嫌な予感がした。
鞄から抜け出して、ケイの肩へとふわりと飛び上がる。
「やっぱ初対面だし派手さは必要だよね……物を光らせる魔法で全身を発光させるか……それか花びらを降らせる?いや、いっそ窓から空飛ぶホウキで突入するか……」
「ケイ。何をしようとしているのですか?」
耳元で聞こえた冷たい声色に、ぎくっ、とした表情になるケイ。肩の上に何かが乗った感触がある。
振り返りはしない。きっとそこに待っているのは、氷の眼差しでケイを見つめるマリアリリィ。
「えっと、どうやったら面白く教室に入れるかなーって。」
「なぜ、教室に入るのに派手さが必要なんですか。それに、貴女は自分の魔法の成功率を忘れていませんよね?」
ケイの脳裏に、今朝のまだら模様の制服のリボンが蘇った。
「間違えて花びらではなく大量の花粉をぶち撒く未来が目に見えます。普通に入りましょう。」
「そうだね、私もそんな気がするよマリア……」
***
ケイ・キャロル。苗字がか行なので、廊下から2番目の列にケイの席はあった。
「ねえマリア、さっきの案、自己紹介の時ならやっていいよね?」
先に着くなりケイは目を輝かせて聞いてきた。
懲りない。粘り強い、と言えば聞こえはいいが。少し思案して、マリアリリィは半ば投げやりに答えた。
「……まあ、いいんじゃないですか。」
三回目の入学式【ルノサリン】→←遅刻では無い...はず【ルナ・レワンド】
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な@い@ふ(プロフ) - すみません、元参加者で、ラルトリー・リミックスで参加していた者ですが、関連づけを消すのを忘れてしまったので更新します、大変申し訳ございませんでした… (2020年5月30日 2時) (レス) id: 23fc6faa00 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ - 続編へ移行です! (2019年11月29日 20時) (レス) id: 3588ccbe80 (このIDを非表示/違反報告)
はるかぜリンゴ(プロフ) - リンゴさん» 分かりました。更新に戻りますね! (2019年11月29日 19時) (レス) id: c609ea125f (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ - はるかぜリンゴさん» 続編はもう準備出来ているので大丈夫です! (2019年11月29日 19時) (レス) id: 3588ccbe80 (このIDを非表示/違反報告)
はるかぜリンゴ(プロフ) - 続編って作った方が良いですか? (2019年11月29日 19時) (レス) id: c609ea125f (このIDを非表示/違反報告)
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