【魔法使いと人形の学園生活】ようこそ！マジックドールアカデミーへ！

自分だって騙すんだ【神崎静】 ページ3

「あ、ここが君の教室だよ。がんばってね！」


迷子になったらしい新入生を教室へ連れていったんだけど、口調とか変じゃないよね。
ちゃんと笑顔だよね？

「あっはい！ありがとうございました先輩！」

・・・大丈夫だったみたい。良かった〜。そう思って自分の教室へ向かおうとしてあることに気がついた。


「ヤバいヤバいヤバい！どうしよう葵置いて来ちゃった！」


「・・・取りあえず戻ろうよ静！葵さん泣いてるかもしれない！」


私にそう言ったのは鞄の中からひょこっと顔を出したエルナだった。
エルナは人形だ。変態だけど、こういう時は頼りになる。・・・変態だけど。


「そ、そうだね。取りあえず戻ろう！エネも！付いてきて！」

「・・・どうせアオイの事だからルナに連れられて教室行ってるんじゃないの？あっ、シズがいないと行動できないかアオイは。」


こう言ったのはエネ。この子も人形。着物を着ていて見た目は大人しそうな子なのに凄くうるさい。
よく意地悪してくる。

「ちょっとエネ！・・・じゃあいったん戻っていなかったら教室行こう。静もそれでいいでしょ？」


やっぱりエルナは頼りになる。エネだけだったら絶対今頃泣いてる。・・・私が。

「・・・うーん。葵いないね。教室行ったのかな。」

葵がいなかったから私達も教室へ向かう。急に不安になってドアの前で止まってしまった。
葵は可愛くて優しいから、私がいなくてもすぐに友達ができるだろう。

・・・じゃあ、私は？

葵が居なくなったら私はまた、独りになる・・・？そんなの嫌だ！
だから・・・

「自分だって騙すんだ。できるよね？」

そう自分に言い聞かせて、教室に入った。

・・・エネとエルナの心配してる声を聞かなかった事にして。

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