恋の魔法 *２ (ページ46)

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僕のハッピーエンディング／01 ページ46

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side / you

目が覚めて時計を見ると短針が8を指している。

今日何曜日、とスマホの画面を確認しようと身体を起こすと、大きく口を開けてベッドに身体を投げ出している、____深田くん、……高校時代の後輩がいた。

高校を卒業して8年、何故深田くんがいるのだろう。この状況に戸惑いはあるものの、無防備に眠る深田くんの顔を見ると深い安堵と胸のときめきを覚えた。

『ふかだくん、』

「……あ、A先輩起きました？よく眠れた？」

『……うん、でも、その』

どうしてここに？と首を傾げると、気まずそうに一瞬だけ目を伏せて、何も覚えてない？と質問で返される。

もしかして、お酒の勢いで何かあったのか、と思ったけれど記憶をなくすほどのアルコールを摂取した覚えは無いし、二日酔いどころか数日ぶりに頭がスッキリしている。

「先輩、俺の事どう思ってる？」

『どうって、……、』

寝起きにも関わらず整った顔で見つめられると、頬に熱が集まっていくのがわかる。

きっかけも何も分からないのに、……深田くんのことを好きだ、と思った。

「俺のこと、好き？」

『……好き、』

「ふふ、俺もA先輩のこと好きです、俺と付き合ってくれますか？」

『うん、お願いします』

大事なことを忘れている気がするけれど、私が好きなのは目の前にいる深田くん。

それは間違いない、……と思う。

* *

深田くん、……竜生(彼氏に深田くんはないっすよ、と言われて竜生呼びになった)と付き合うようになってから様々な事が変わった。

住む家も、職場も。お互いが住んでいた家を引き払って、新しい家に決めた。

そして、竜生に言われるまま、異動願いを出すと、何故だか気の毒そうにすんなりと受け入れられ、遠く離れた土地に転勤が決まった。

『ね、竜生、私ねなんかすごく周りに気を遣われてる気がするんだけど、何かしたのかな』

「Aちゃんは何もしてないよ、何も思い出さなくていいから、……ね？」

『うん……？』

竜生が言う、何も思い出さなくていい、はどういう意味なのだろう。

だけど、思い出そうにも思い出せないし、そもそも何を忘れてしまっているのかも分からなくて。

「俺のことだけ見ててくれれば、Aちゃんは何にも悲しい思いをしなくて済むよ」

だから忘れちゃってね、と私のおでこに唇を落とした。なんだか、おまじないみたいだ。

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