恋の魔法 *２ (ページ5)

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いっそ寝坊してやろう、と当日まで渋っていたがドアがドンドンと叩かれ目が覚めてしまった。

「うるさいな、」

親だと思って少し強めに言うと、顔を覗かせたのはAちゃん……、と深キョン。

「なんで深キョンもいるの？」

「うっちーくんを連れてく係に任命されたから」

『そうちゃんにちゃんと行って欲しいから深田くんにお願いしたの』

……信用ないな、どうにかして行くのを辞めようと思ってたのは事実だけど。

「Aちゃんはそんなにおれと離れたいんだ」

『なんでそういう言い方するの？』

「……早く準備しないと遅れるから喧嘩してないで、」

呆れたように肩を竦める深キョンを睨み付けて、着替えようと渋々パジャマを脱ぎ捨てる。

「Aちゃんワイシャツ取って！」

『……はいはい』

「ボタン留めて」

「……赤ちゃんと母親？」

「うるさい」

「じゃあ下で待ってるんで、最後の別れを楽しんでください」

そう言っておれの部屋を出ていった。

最後の別れって！

「ほんとに行かないとだめ？」

『だめ、』

「……ん～～、」

『今度ふたりで行こうよ、ふたりで行きたいところ探してきてよ』

「分かった、じゃあ下見してくるね」

『……うん、お願いします』

我ながら単純だなって思うけど、ほんとうに逃れられるとは思ってないから。

「最後に充電、」

Aちゃんをぎゅっと抱きしめて顔を近づける。

「まだっすか？」

「空気読んでよ！」

深キョンに邪魔されたけど、まあいいやってちゅっとAちゃんに口付けた。

『人前でダメって言ったのに……』

「いいじゃん、深キョンが勝手に入ってきたんだもん」

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