恋の魔法 *２ (ページ34)

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「Aちゃんへ

　
10年前、Aちゃんが貸してくれた本覚えてる？

貸してくれたって言ってる割に、ずーっと返してないんだけどね。

【気になるあの人を振り向かせる魔法！】ってすっごい胡散臭い本、

Aちゃんも湧に試したことあるって言ってでしょ？それ、俺もAちゃんに魔法を掛けたんだ。

Aちゃんは説明書とかそういう細かいのが嫌いだったから、きっと読んでないんでしょ？

【既にアナタのことを好きになっていれば効きません】って書いてたんだよ。

どういうことかわかる？

最初からAちゃんと湧は両想いだったの。

だから、こんな魔法なんて要らなかったんだよ。

でもそれって、Aちゃんが俺のことを好きじゃなかったってことだから、

当然、Aちゃんに俺が掛けた魔法は効いた訳で、

Aちゃんが俺のことを好きだって思ってくれていたのは、魔法のせい。

魔法なんて可愛いもんじゃないかな、呪い？

Aちゃんが魔法の力で俺のことを好きになってくれたけど、ずっとね不安だったの。

いつか、魔法が解けちゃうかも、って。

Aちゃんが湧のことが好きだって思い出しちゃうかも、って。

Aちゃんは俺のことヤキモチ妬きだって言ったけど、ヤキモチなんてそんなぬるいものじゃなかったよ。

湧と、他の男と、話してるところを見ると狂いそうになったの、Aちゃんは俺のなのにって、どす黒い感情がぐるぐるしてたんだよ。

この間のAちゃんの涙を見て決心したの、

Aちゃんは俺じゃなくて湧と幸せになってね。

ずっと、Aちゃんのことが大好きだったよ、

一緒に過ごしてくれてありがとう、縛り付けちゃってごめんね

颯太より」

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