恋の魔法 *２ (ページ32)

今日:24 hit、昨日:0 hit、合計:241,486 hit

081 ページ32

.

　

目が覚めると隣は空っぽだった。

普段そうちゃんが私よりも早く起きることなんて滅多にないのに。

早く目が覚めたのかな？と眠い目を擦りながら洗面所に向かうと、

鮮やかな＿＿＿、

赤が広がっていた。

『そうちゃん？』

嫌な予感っていうものは、なかなか外れることはなくて。

赤の先を辿ると、横たわるそうちゃんが目に入った。

『っ……、』

いざっていうとき、人って声が出ないみたい。

だけど、このままじゃ、そうちゃんが、

震える手で119番を押して、状況を伝えて、その場にぺたりと座り込んだ。

誰か、助けて。

湧を呼ぼうとしたけれど、……今日はダメだ。

“「……じゃあなんかA先輩が困ってる時に助けるので、」”

ふと、何年も前に聞いた深田くんの言葉を思い出した。

時々ベロベロに酔っ払ったそうちゃんを家まで送ってくれることがあったから、時々顔合わせるけれど連絡先はわからない。

そうだ、……と、そうちゃんのスマホを手に取った。

ロックナンバーなんて聞いた事なかったけれど、単純なそうちゃんだから自分の誕生日とかに設定してるだろう。

『0307……、開かない、』

流石に誕生日ではないか、と思い浮かぶ数字を入力していく。

『……開いた、』

入力したのは私とそうちゃんが付き合い始めた日。

また涙が零れた。

.