恋の魔法 *２ (ページ30)

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side / ryusei

「やっぱり、魔法、解いてあげなくちゃ」

何かを決意したかのように、涙を拭ううっちーくん。

「魔法解いてどうするの？」

「Aちゃんには、湧と幸せになってもらうの」

「でも、明日湧くんは……、」

「おれがいなくなったら魔法、解けるんだよ」

残りのビールを一気に流し込んで、よし、と立ち上がった。

俺がいなくなったら？

Aさんと別れるってこと？

「話聞いてもらったから、今日はおれ出すね。帰る準備してて」

伝票を持ってレジに向かううっちーくんをただぼーっと見る。

そんな訳ないのに、本当にどこかに行ってしまうような気がして、思わず小走りで追いかけた。

「そんな急がなくていいのに(笑)」

「うっちーくんに置いてかれるなーって、」

「深キョン、Aちゃんと湧のことよろしくね」

大人の、男に使う表現ではあんまりないんだろうけど、片手を上げてじゃあね、と笑ううっちーくんはすごく、綺麗だった。

「何言ってんの急に、」

「何となく？深キョンにしか頼めないなーって思って、」

「じゃあ、また飲みに行こうね」

「……うん、」

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＿＿＿この日、俺がうっちーくんを見た最後の日になることを、俺はまだ知らない。

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