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「伊沢さんいきますよ〜。」
「嫌だ!」
「嫌だじゃないやります。問診票ちょうだい。」
伊沢が抱え込んだ問診票のバインダーを福良が取り上げて水上に渡す。流石の連携プレーだ。
「熱無い、体調大丈夫、打てるね。座ったままでいい?」
「…いい。」
「ん。てか半袖Tシャツ着てきたんだね、そこだけは準備いいね。」
「違うよ、この人まだ私服半袖。」
「あぁ…伊沢さんだもんな。」
須貝さんに抑えててもらう?という水上の発言に伊沢が全力で首を振る。須貝がガチで抑えるとマジで身動きが取れなくなって逆に怖いのだ。
「福良さぁん手握ってて…。」
「良いよ〜。ついでにこっち向いときなよ。」
「伊沢さんアルコール平気だよね?拭きまーす。昨日は何の仕事したんですか?」
「昨日は…東大王の収録と、YouTubeの撮影も。」
「おー、どっちも見てますよ。後輩がすごい。」
「そうだよ、お前の知らない後輩がいっぱい活躍してるんだから。って痛い!痛い!」
喋りで伊沢の気を逸らしながら水上が針を刺す。伊沢は予告すると力が入ってしまって余計痛く感じるタイプだということも分かっていた。
「あと5秒〜5.4。」
「医者のあと5秒って信用ならない絶対クイズ大会のカウントより遅いし0のとき伸ばしたりするもんあああこの薬入れてる時が1番痛い!」
「0!はいお疲れ相変わらず元気だったね〜。」
「はぁ、もうやだ…。」
伊沢にも止血用の絆創膏が貼られ、厄介2人組ついでに河村、の予防接種が終わりを告げる。
「河村さん立てますか?」
「…ん、大丈夫そう。」
「よし、じゃあ帰ろうか。水上今年もありがとう、そしてお疲れ様でした。」
「こちらこそです〜。また来年も来てくださいね。」
片付けをする水上に見送られ、処置室を出る。外来が終わった院内には入院患者の他には医療従事者しかいないということで会計は普通に行うことになっていた。どうせ経費で落とすので会計は3人分まとめてもらった。その間に須貝と山本は院内のコンビニに行き、お望み通り果肉入りのグレープフルーツゼリーを買ってもらう。
車が動き出すと、喚き疲れたのか伊沢は眠ってしまった。そんな伊沢のため音量が絞られたラジオ、とっくに暗くなっている空、ということで眠くなるのか須貝と山本もうとうとしている。…これで今年も無事に冬が迎えられる。福良はそう思いながら、ミラー越しに後部座席へ目を向けた。
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匿名希望 - なにわ男子とini、jo1、befirstも追加して下さい。あとa teamsも。 (4月27日 17時) (レス) id: 3780771c00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sunny | 作成日時:2023年12月20日 22時