. ページ3
.
「失礼します水上です〜。久しぶり。」
「水上ー!やっと来たな助けて。」
「やっとって、今日忙しいんすよ。でも1日の最後に伊沢さんたちかぁ…。」
「ん、嫌ならやらなくても良いんだよ!?」
「いえいえ誠心誠意やらせていただきます。最初誰から行きます?」
「…じゃあ、僕から。」
少し間を空けて手を上げた河村を見つめる2人の目に籠っているのは、安堵か疑いか。それはともかく、河村がまず最初に予防接種を打たれることになった。
「はーい。問診票見せてください。えー熱は大丈夫、体調悪いところもないですね。あでも具合悪くなったことあるのか。」
「そう、だから寝たまま打ってもらっても良い?」
「良いですよ〜。利き手の方を下に向けて横になってくださーい。」
河村が右向きに横たわる。ちらっと見えた顔には僅かながら緊張が浮かんでいた。
「アルコールアレルギー無いですかー?」
「大丈夫でーす。」
「じゃあまず拭きまーす。…はい、打ちますよー。痺れません?大丈夫ですね。…はいおしまい!仰向けになって良いけど、しばらく寝ててくださいね。」
「ありがとうございましたー。」
ものの数秒で河村の予防接種は終わった。迷走神経反射を起こしやすいから苦手なだけで、横になっていれば問題は無いのだ。問題は、あと2人の方。
「伊沢さんお先どうぞ。」
「いやいや山本が先にどうぞ。」
「どっちでも良いんで早く決めてくださーい。」
鶴の一声ならぬ水上の一声で2人が無言でじゃんけんの構えをする。
「「…最初はぐー、じゃんけんぽん!」」
「よっしゃあああ!!!」
勝者は伊沢であった。処置室いっぱいに喜びの声が響き渡り、すぐ水上にうるさいと嗜められる。どうせすぐ順番が来るのに、少し遅くなっただけで嬉々とした表情だ。
.
37人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
匿名希望 - なにわ男子とini、jo1、befirstも追加して下さい。あとa teamsも。 (4月27日 17時) (レス) id: 3780771c00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sunny | 作成日時:2023年12月20日 22時