花「No.8」 ページ10
あの、無駄の無いトス。
及川徹。チーム全員の能力を最大まで引き上げる事が出来るセッターだ。
若利が、欲しがる訳だ。
一人ひとりが、輝いている。
俺は、決めた。
マネージャーをやる。
この、チームを支えてやりたい!!
ギャラリーから降り、選手達の所へ行く。
岩「どうだった?」
貴「チーム力が素晴らしかったです。一人ひとりが輝いて見えました。1番は及川さんですね一人ひとりの力を最大まで引き上げる事が出来る素晴らしいセッター……若利が欲しがるのも納得いきました。それに、スパイカーの打点を瞬時にブロックのいない所へと持って行く……魅入ってしまうほどでした。俺に、マネージャーさせて下さい!」
岩「そうか!助かる」
あ、つい熱くなりすぎて語ってしまった。
まぁ、岩泉さんは気にしてないからいいか。
及「ねぇ、ちょっと来てくれる?」
貴「?はい」
何も話さず、ただ見つめられる。
及「……さっきの」
貴「?」
及「さっきの、言葉……本心で言ってるの?」
貴「当たり前じゃないですか。嘘でも吐けと?」
及「やっぱり天才、ムカつく」
その言いぐさは、過去に何かあったのだろうか?
及「天才はいいよね。努力なんてしなくても勝てるんだから」
貴「……それは、違う。天才だからと言って練習をしない訳ではない。上手くなる為に、勝つ為に練習を積んでいる……努力をしたからと言って必ずしも報われる訳ではないが、それでも、努力をしたかしないかでは勝った後の、負けた後の喜びも後悔も全く違う。だから、あんた負けるのが悔しんだろ。若利を倒せないって事が」
及「!?……あぁ、そうだよ。けど、選手でもないお前に何が分かるのさ?」
貴「俺は、小学の時野球をやっていたんだ。男子に混ざってな。だから、スポーツは違えど選手の悔しさは分かる」
あれは、『私』が『俺』になる時でもあったがな。
及「…ごめん」
貴「別にいい。若利に負けたのが悔しんなら、逆に考えればいい」
及「逆?」
貴「そうだ」
そう、逆に。
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作者名:結乃栞 | 作成日時:2019年7月25日 22時