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お風呂はまだ半分くらいしか溜まっていなくて、その間メイクを落として洗顔をした。

あいにくメイク道具はほぼない。
スッピンで出るのも気が引けるが、雨でひどくなった状態よりはマシだろう。

お風呂に入ると、ほっとする。



けど、ヤバいことに気がついた。



今、好きな人の家に来て、風呂に入ってる。
てか、着替えはきっと海斗くんのもので……。



何だか湯船のせいじゃなくのぼせそうなので、早めに出た。













『お風呂上がりました。』







リビングで毛布に包まり、湯気の出ている飲み物を飲んでいた海斗くん。

私がそう言うと、安心しきった顔をあげるから不覚にも可愛い、と言葉をこぼしてしまいそうになった。




「……え、なんでマスクしてんの?」

『んーと、気分?』





スッピンが恥ずかしい、なんて思いっきり意識してますって言ってるようなものだし、すごいメイクに力入れてます感も出るし、言えなかった。

そのまま横に座ると、毛布を近くの椅子にかけて完全家着の海斗くんが現れた。



……なんか、いつもと違う。
ちょっと抜けてて、可愛いかもしれない。



ボーッと思っていたら、またこっちに来て顔を近づけてきたと思ったら私のマスクに指をかけて顎まで下ろした。





「スッピンでも可愛いじゃん。」




マスクを律儀に戻すと、そのまま洗面所に入っていった。





……え、可愛いって何?

…スッピン見られた?!




慣れてる感出てるし。ああいうのやだ。


なんて心の中で呟くけど、本当は可愛いって言われて嬉しくてニヤついてるの、自分で分かる。



マスク、外しておくか。




 

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作者名:菜緒 | 作成日時:2022年1月4日 18時

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